遺伝性精神疾患者等に対する強制不妊手術の実施は、優生保護法(1996年に事実上廃止)を根拠に行われていた。それに対する賠償キャンペーンを毎日新聞、朝日新聞などが行っている。
https://mainichi.jp/articles/20180319/ddm/005/070/019000c
優生保護の考えは、健常者でも食うに困る時代には常識的だっただろう。豊かな時代になり、「強制手術は何が何でも」と人権を優先すべきということになった。1996年のことである。
基本的人権は、生存権、思想信教などを指す。憲法13条には、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とある。優生保護法に基づく強制不妊手術は、憲法によれば、公共の福祉ということになるのだろう。
このような悲しい法律が廃止出来たのは、仮に遺伝性精神疾患の患者が結婚して、精神疾患の子供を産んだとしても、国家の直接的又は間接的関与により、その面倒を見る事ができるからである。ただ、この国にそれだけの余裕がなくなれば、我々は悲しいが再度その法律を定めることになるかもしれない。今後も、この国が今程度に豊かで、個人の権利を現在の程度保障できる国家であることを望みたい。
そのためには、日本は諸外国の中で名誉ある地位と、一定の経済力を持たないといけない。そのような観点で、報道活動をしているか怪しい新聞が、この種の報道をしていることに国民は気付くべきである。
3月19日の毎日新聞社説では、優生保護法を根拠とする不妊手術を受けた人たちのリストアップ調査と、彼等の救済を訴えている。今年になって、宮城県内の女性で初めて国を提訴したという。同社説では、「民事の損害賠償権が20年で消失するなど、救済を阻む壁は高い」と書いているところを見ると、法的賠償が可能だという主張をしているのだろう。
しかし、その根拠を明確に書いていないところを見ると、本音では優生保護法が違憲であるとは毎日新聞も思っていないのだろう。恐らく、この運動を展開する新聞社などに詳細に法的根拠を聞けば、実際の優生手術のプロセスに何らかの過失を発見して、その賠償をすべきだと言うのだろう。
https://www.asahi.com/articles/ASL3T4K7DL3TUTIL011.html
そのような特殊なケースであるということを隠して、国家が違法に基本的人権を無視して大量の断種手術をしたとして、国家の犯罪を宣伝したいのだろう。兎に角日本国を貶める新たなキャンペーンを始めたということらしい。
補足:
強制不妊手術を受けた人に対して、何らかの支援や見舞金はすべきだと思う。違法や違憲でなくても、悲しい事件や災害にあった人たちに支援するのは、国家の一つの役割である。その考えは、従軍慰安婦として日本軍兵士とともに戦いに参加した人たちに対して見舞金を送るというのと同様の根拠を持つだろう。従って、保障という言葉を主張するのは、一部の不法なケースに限られる。この種の言葉「保障」「見舞金」の使用については、国民に十分説明すべきである。
0 件のコメント:
コメントを投稿