石破茂氏が、自民党総裁選に向けて挙げた政権構想やキャッチフレーズが気になり、自分の考えを一言書くことにした。
与党の次期総裁は次期総理である。保守合同以来なのだろうが、自民党には所謂リベラルから保守まで、多種多様の議員が所属している。そのため日本の政治は、自民党内の誰が総裁になるかで、大きく変化する。その総裁選に、一般国民に何の参加権もないのが、そして、それを国民が許してきたのが不思議である。この件については先日指摘した。(補足1)
政権選びは、大抵二択問題である。現政権は、この困難な時期にあって、いろいろ小さい批判(補足2)を受けることはあっても、日本の独自の道を探りながらこれまで日本の舵取りをしてきた。この評価に対してYES or NOの札を持たされれば、YESの札を上げる人が多いだろう。日米関係の深化と日本の独自路線の両方(補足3)を実現すべく努力してきたことを、国民の1人として信じようと思う。
安倍政権のこれまでの経済政策についての評価だが、雇用の創出や企業業績の好転を見れば確実にプラスであった。ただ将来日銀が、安全に出口戦略が取れるのかどうかで最終的評価が定まるのだろう。マクロ政策には限界があるので、教育改革の必要性を強調しているのも評価されると思う。
一方、石破氏は、総裁選のキャッチフレーズに「正直、公正」を持ち出し、暗に安倍総裁を批判している。もし、森友問題や加計問題に関して安倍総理を批判するのなら、「今更何をいっているのか?」と言いたい。もっと相応しい時期に、例えば国会で野党が追求しているときに、与党の幹事長として何かやるべきことがあった筈である。 個人的にラジオ等で批判しても、それは大きな力も意味もない。
https://www.youtube.com/watch?v=82f0EyW65y4
また、我々が総理大臣に期待するのは、前提としての「正直、公正」などではなく、結果としての公正、結果として国民の味方であり続けたということである。学校の先生を選ぶのなら兎も角、国家の指導者を誰にするかを考える時、市井の個人の徳目:「正直、公正」を前提条件に持ち出すのはおかしいだろう。要するに、石破氏は国民の衆愚的人気を取りたいだけで、その様なことを言っているのだろう。
産経ニュースによると、石破氏はこの27日、総裁選に地方活性化と社会保障制度改革などで消費を喚起する司令塔「日本創生会議」を創設することが政策の柱だとして発表した。https://www.sankei.com/politics/news/180827/plt1808270038-n1.html
その様な会議を作るのなら、先ず地方活性化の核として具体的に何を考えているのか、社会保障制度をどの様な方向に改革するのか、序論部分を言わなければならない。そのような具体的方向も示さないで、会議を作るというだけでは、公約にもならないと思う。
また、石破氏は、今は憲法改正する時期ではないと言っているが、もし憲法は改正すべきという持論に変化がないのなら、それはどの様な時なのか。早ければ早い方が良いと考えるのなら、そのために自民党幹事長として何をやってきたのか、言ってもらいたい。 完全な案が提出できるように国民の理解が進むまで憲法に触らないというのなら、実質的に憲法改訂反対ではないのか。今は憲法改正する時期ではないというのなら、私は石破氏は自民党幹事長にふさわしくないと思う。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018081802000076.html
憲法全体を改正するのは困難だが、差し当たり国家の体をなすように国防力を憲法に書き込むという、安倍現総理の方針を支持したい。文言が不完全だという意見もあり得る(補足4)が、ここで改憲の第一歩を踏み出すのが正しい日本の方向だと考える。それほど国際環境は緊迫した情況にあることは、今や明白ではないのか?
https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43738227.html
また、石破氏は北朝鮮問題では、東京と平壌に公的な連絡事務所を設けると主張し、「拉致問題の全面解決がなければ、何も進展しないというものからは脱却しなければならない」と述べた。https://www.sankei.com/politics/news/180827/plt1808270038-n2.html
北朝鮮に事務所を置いて、一体何を解決するのか。核兵器保持を国家の誇りとする北朝鮮に対して、核の放棄を迫ることなど、現在の日本にはできない。そして、北朝鮮の核廃絶が進まない今の情況下で、何のための国交回復と経済協力金の支払いなのだ。日本が憲法を改正し、自前の国防軍を持ち、核兵器の米国との共有など核抑止力の体制を整えることで、それを可能にすべきであると思う。事務所開設は、それからのことである。石破氏の案では、自分から経済協力金を強請り取られる為に事務所を拓くようなものである。
補足:
1)この政治の歪んだ姿については先に批判した。「自民党が天皇を日本国元首としたい理由」:https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43735702.html その病根は、GHQにより社会党を育てる占領政策により持ち込まれた。先日紹介したTim Weiner“Legacy of Ashes The history of the CIA”にそれを示す記述がある。私の解釈:日本の政治にとってはあまり好ましくない共産(&社会)主義政党を野党として潜り込ませた。
2)ただし、無視できない類の問題である。従って、石破氏の「正直、公正」というスローガンが安倍総理の批判であるのなら、それは別の場面で出されていたのなら、正しい批判なのかもしれない。
3)米国は、累積赤字がこれ以上になるのなら、世界の覇権国から降りても良いと言い出している。その一方で、世界の半分は我々が受け持っても良いと中国が言っている。これが今尚、世界政治の構図である。現代の世界は、欧米の政治文化を基にして、自由、人権、民主、法治などを重要な骨組みとする体制にある。それが経済のグローバル化とそれに伴う政治的新勢力の台頭で、崩れだしている。その新勢力の代表が、中世的帝国になろうとしている中国である。これまでの政治秩序の崩壊にストップを掛けるのは、欧米特に米国である。その意味で、日米関係の深化は、日本が中世的帝国の衛星国にならないためには必須だと思う。また、西欧型政治文化の一翼を担う国家となるためには、独立国家としての体裁を整える必要があると思う。つまり、今が憲法改正の時だと思う。
4)最初安倍改憲案では駄目だと思っていた。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43265710.html
ただ、情況は逼迫しており、第二項の廃止に対する抵抗が大きいのだから、実質上書きで済まそうとする安倍総理の方法が現実的で良いと思う。
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