1)米国中心の勢力圏の拡大とその崩壊のプロセスについて:
英国で始まった産業革命による経済規模の拡大は、20世紀にはリーダーを米国に引き継いで進行した。そのプロセスに関与した国々が、その拡大(経済規模及び地理的)する経済圏の中心となった。その米国中心の経済圏は、欧米から日本や韓国など東アジアから、中国、東南アジア、インドを包含し、中東へと広がっていき、グローバル化と呼ばれる様になった。その拡大プロセスは、先ず経済的活動範囲の拡大として起こり、それに引き続いて政治的な枠組みの拡大という形をとる。その際英米は、個人の自由と制定法による支配、三権分立の体制という政治文化の共有を、政治的な枠組みの基礎とした。
21世紀に入って、その欧米型政治経済の勢力圏が、中東などイスラム圏や中国など、より異質な文化圏へ拡大化する際に、経済的拡大は一定の範囲で進んだものの、政治的枠組みの拡大において問題が生じ、全体として非常に歪な境界領域を作ってしまったのではないだろうか(補足1)。その結果、この経済的発展を駆動力とするこの勢力圏拡大、更にこのグローバル化モデルそのものも頓挫してしまったのだと思う。それが米国大統領選挙におけるトランプ候補の出現や、英国のEU離脱、EUの危機として現れたと思う。
2)日本は世界における立ち位置を探るべき:
グローバル化モデルが、その核というべき米国で壊れ始めたことは、日本は新たに世界の中での立ち位置を考える契機としなければならないと思う。そこで大事なことは、原点から考えることである。つまり、「軍事力に優る国が地域を支配し、軍事力に劣る方は属国あるいは絶滅の運命を辿るという歴史の法則は、現在でも変わらない」ということを責任ある政治家は再確認すべきであると思う。
例えば、EUが出来たのは、上記欧米経済圏の拡大と並行して、米国と西ヨーロッパとの軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)が出来たからであり(補足2)、その本質的な関係は、NATOのホームページにある通りである。http://www.nato.int/cps/en/natohq/topics_49217.htm (補足3)
NATOは、飛び抜けた軍事力を持つ米国の通常及び核軍事力により、ヨーロッパを広くロシアの軍事的脅威から解放するために存在する。つまり、東欧を含めて米国の核の傘の下に置くことが目的であると思う。英国のEUからの脱退は、その枠組みの転換点になる可能性があると思う。(補足4)
このNATO-EUを中心とする欧米圏の端に、日本や韓国も位置すると思う。英米にとって歴史的背景も異質な日本を切り捨てることはいざとなれば容易である。その際、将来害をなさない方向を考えるだろう。それは、決して中国と連携させないということであると思う。
私は、中国やロシア、特に中国との敵対関係を明確にするのは得策ではないと思う。つまり、南シナ海での合同演習などで、中国に圧力をかけるという方向には、将来日本のとるべき道はないと思う。米国が太平洋西部から遠ざかりつつある現在、わざわざ日本が中国と敵対する方向で動くことを要求したとすれば、米国の策略であると考えるべきだと思う。
(7/7 15:30 編集;これは素人によるメモです批判等お願いします。)
補足:
1)“アラブの春”なども、好意的にみれば欧米の政治経済圏による、政治的枠組みの拡大のプロセスとみなされると思う。一方、悪意的にみれば、米国産軍共同体による企みということになる。
2)2度の世界大戦で荒廃したヨーロッパを想い、二度とこのような惨劇を招かぬようにヨーロッパ連合を作ったという。それは思想的な面であり、それを可能にしたエネルギーは経済圏の(経済規模及び地理的)拡大であると考える。何事も思想があっても、エネルギーがなければ実現しない。
3)Sharing strategic interests and facing the same challenges, NATO andthe European Union (EU) cooperate on issues of common interest and are workingside by side in crisis management, capability development and politicalconsultations. The EU is a unique and essential partner for NATO. The twoorganisations share a majority of members and have common values.
最後の2行:「EUはNATOにとって特別で本質的なパートナーである。二つの組織は、大多数のメンバーと価値を共有する。」はズバリ、それを言っている。
4)英米の、NATOの中での大きな役割を考えると、フランスやドイツは結局英国にたいして強い態度に出ないだろう。しかし、歴史の流れは変えられないだろうから、EU諸国はNATOに将来ほころびが来ないかどうか、考えなければならないだろうと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿