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2017年1月3日火曜日

日本国憲法自民党草案における天皇の地位についての曖昧性

自民党憲法草案
第1章:天皇
第一条 天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基つく。
第二条 皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2。日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。
第四条 元号(省略)
第五条 天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する機能を有しない。


以上について、私の意見を以下に述べる。
第一条の記述は矛盾している。天皇が元首であるとしながら、「主権の存在する日本国民の総意に基づく」と書かれている。主権が国民に存在するのなら、「天皇は国民統合の象徴である」と言えても、元首とは言えないのではないか。また、天皇は日本国の元首である(第一条)と書きながら、天皇は国政に関する機能を有しない(第五条)と定めている。これもおかしい。元首とは、国際法上国家を代表する地位である。国政に関する機能を有しない(5条)人が、国際法上どうして国家を代表できるのか?

日本国憲法を改正するのなら、言語的矛盾は一掃されなければならないと思う。今上天皇は、昨年の国民に向けてなされた譲位に関する談話に於いて、象徴としての役割を強調された。私も天皇の地位に関しては、象徴と規定する現行憲法を支持する。その上で、その地位に矛盾しないように天皇の国事行為を簡潔にし、天皇を日本人の精神的柱とすることだけにした方が良いと思う。

言語を論理的に使用し、国家の形を明確に規定する憲法でなくてはならない。改訂憲法の第九条に於いては、明確に自衛軍の保持を規定すべきであるが、同時にそれを明確に国民の下におくことが大事である。国家元首が天皇では、上記理由により憲法全体に論理矛盾が内在する上に、自衛軍の運用における誤解や政権の拡大解釈を許すことになりかねない。つまり、皇軍と靖国神社の関係を復活させる印象を国内外に与える可能性がある。

現在の自衛隊は、明らかに憲法9条がその保持を禁じた軍隊である。言語的に曖昧な憲法は、再び言語を無視した解釈改憲の危険性を持つと思う。

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