§1.
韓国という国は近代国家ではない。法律も条約も分からない文化しか持たないのだから、西欧との条約の感覚で、何かを約束することは無意味である。一昨年の暮れの日韓慰安婦合意について「今回の米国の圧力による慰安婦問題の合意は禍根を残すだろう」と題して、それを指摘した。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42578379.html
今回の協定違反行為に対しては、韓国からは大使を引き上げるのは当然だが、日韓通貨スワップ交渉も取りやめにすべきだと思う。
一昨年末の慰安婦合意も、外務官僚の下準備を元に為された筈で有るが、米国と米国政府や韓国と韓国政府などについて全く理解しないで準備したのだろう。日本国にはインテリジェンス機関が無いのだから、外務官僚は関係国の深部に流れる考え(思想や文化)を踏まえて、政治家に確度の高い関係情報を上げなければならないと思う。しかし、そのような考えは今の外務官僚にはないのだろう。
それを裏付けるのが、今回の一年しか持たない慰安婦合意の結末であり、また安倍総理の怒りを買った米国大統領選の外務省予想である。いったい外務省は何をしているのだろうか?単なる学校秀才の集まりなのか?とにかく、外務省のシステムや官僚上がりの政治家に一定の枠を作らなければ、日本の政治はよくならないと思う。
§2.
従軍慰安婦問題に戻る。一昨年の年末にその合意はなされたが、それは米国オバマ大統領の脅しにより、安倍総理が渋々同意した結果に違いない。「慰安婦問題合意:汚い韓国と米国、そしてそれに盲従する外務省」 http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42584053.html
そして、それを批判した記事を「米国と韓国の歴史修正主義:米国の慰安婦問題干渉の目的は何か」と題して書いた。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42587320.html
もちろん、そのような証拠など入手できるわけがなく、安倍総理の従来の姿勢からはありえない合意であり、そう考えなければ説明がつかないという推測によるものである。(補足1) 繰り返しになるが、どうせ在米大使らは、赴任国当局の意見をオーム返しするだけで、(政治家の意を汲んで)米国への働きかけなどほとんどしなかったのだろうと思う。
後者の記事では、独自路線を歩む可能性が強い安倍政権が、長期政権になることが予想されるため、それを潰すことがオバマ大統領の日韓関係介入の目的ではないかと書いた。そう考えたのは、米国の潜在的敵国リストに日本が含まれていると考えているからである。それはマッカーサー統治時代や岸・佐藤内閣時代からわかっていたこと(補足2)である。
日本政治の忌まわしい点は、国民に何も明らかにしないことである。(補足3)それが、先進国を自称する日本国において、政治家と国民の間に厚い壁を温存するメカニズムである。重要なことを全て外交機密とするようでは、国民はいつまでも被支配者のままであり、国民の政治参加など期待できない。明治維新後、更に先の大戦敗戦後も薩長政治貴族が、日本を統治し続けられるメカニズムである。
その結果、政治貴族の家系以外から政治家に成り上がる唯一知的な人たちは、面白みのない国家公務員上がりの人物である。昔から両親が子供に公務員になってほしいと願う理由は、公務員は安定した職業だということである。子供も当然その考えの影響下にあり、平均すれば安定思考の人たちが国家公務員となる。それが、主流派をなす日本の外務官僚と外交官出身の政治家が、日本国よりも支配者の米国に忠誠心をもつ理由だと思う。
日本文化の中で育った、しかもその中で平均以上に安定思考を持った知的な人たちは、当然自分の地位や命を優先する(補足4)。その結果、敗戦後も日米同盟で表向きは緊密な関係を持ちながら、健全な日米関係が築けなかったのだと思うのである。(補足5)
以上の考えもあり、一昨年の日韓合意について総括したことを、「米国は何故、日韓に圧力をかけたのか?」としてまとめた。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42600101.html その後、ピント外れのことを言った櫻井よしこさんの発言(補足6)についてもコメントした。http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42609855.html テレビなどによく出る評論家を名乗る人でもこのレベルのことしか言えないことを思い出すべきである。
§3.
韓国とのまともな協定締結は、あの国がもう少し成長するまで待つべきである。また、米国のアジア政策の中心は、日本と中国の間に楔を打ち込むことであることを十分知るべきである。安倍総理はそのことはあまりわかっていないのではないだろうか。つまり、日本と米国は同盟国であるので、その関係を大事にするべく表では行動すべきである。しかし、ある時突然に敵国視されることも念頭に入れて(補足7)、中国との間には一定の余地を残した関係を築くべきである。その為、中国と日本の学者が共同して、米国と東アジアの関わりの歴史について研究し、その知識を共有すべきである。
補足:
1)人間関係でも国家間の関係でも、もっとも重要な決断は推測によりなされる。したがって、政治家や行政官の幹部には想像力が要求される。第二次大戦でも、各国が何を考えているかを全く読めなかった(想像できなかった)のが、日本が日米戦争を始め、致命的な敗戦に至った原因である。
2)中国が核実験に成功した時に、(米国の友好国となった)日本も核武装すべきだと考え、岸氏や佐藤総理が米国に行ったが、にべもなく断られたという。
3)論語の中の言葉「由らしむべし、知らしむべからず」が未だにこの国の政治に生きているのである。
4)それは日本国民一般の普通の姿である。何故なら、日本国民の本心には愛国心などないからである。昨年「保育園落ちた、日本死ね」が流行語大賞にノミネートされたことでもわかる。http://www.oricon.co.jp/news/2081601/full/
長い歴史の中で、日本国民が一致団結した記憶など無いし、戦争は常に支配層の仕事であり、明治以降も人民一般はそれに巻き込まれる形で参加せざるをえなかったのである。愛国心などなかったことは、敗戦後日本人一般はマッカーサーを新しい支配者として歓迎したことを証明している。
5)太平洋戦争に巻き込まれたところから、日本は米国との外交戦に負けている。その延長上で考えるべきである。その外交敗戦を知るには、太平洋戦争の総括が必要だったのだが、安易に東京裁判を否定して、有罪になった人全ての名誉を回復した。その上で靖国神社に戦争指導者も一緒に合祀するという愚かなことの上塗りしたのだ。それは、戦争とそれに至る外交敗戦から学ぶチャンスを自ら捨て去ることになった。その結果、未だに明治時代から一貫して薩長政治が続いている。そのことを日本国民はもっと深刻に考えるべきである。
6)驚くべきことに、櫻井さんは日韓合意を外交的勝利と持ち上げた。https://www.youtube.com/watch?v=RJdHTrgybOg
7)トランプ政権の中でその米国を見るかもしれない。
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