1)プロパガンダ
言葉は、聞いた人がその言葉を信じることが予定されている。(補足1)従って、力を持っている存在が、全くの嘘を言ったとしても、多くの人は先ずそれを信じる。その後、自分が直接見たり、他の信用できる人から聞いたりして、嘘だと知る場合もあるが、世界が大きくなり重要な事実が遠くなった現代では(補足2)、それはむしろ少ない。
つまり、その“大きな声”は、その範囲の人々を真理の方にでも虚偽の方にでも動かす事が可能である。一定期間その状態が続くと、人々はその“大きな声”に従う以外に、生きていく道がなくなる。それが、プロパガンダや偏向教育(洗脳)が成立するメカニズムである。
大手メディアは全て、その社会の最も強い存在に忖度する。つまり、事実上社会の支配者のプロパガンダ機関である。社会の支配者が国民なら、国民に忖度して事実を報道する。しかし、支配者が国民を騙す存在なら、人々から購読料や視聴料をとる場合でも、人々が目覚めるまでは虚偽の情報を流し続け、権力者を疑う根拠も方法も持たせないようにするだろう。
もし、米国のTwitter, Google, Facebook等が反トランプなら、米国を支配する強い存在が、反トランプ側に存在する筈。それらは株式会社であり、真理の追求ではなく利益追求を第一の目的としていることを思い出すべきである。つまり、本当に国民が強い存在で有り続けると彼らが考えるなら、その直接選挙で選ばれた大統領のアカウントが、削除される筈がない。
日本の新聞報道も、戦前は大日本帝国政府そして戦後はGHQに忖度し、真偽とは無関係に政治的情報(戦前なら大本営発表など)を流し続けた。しかしその姿勢は、株式会社として全く自然である。その株式会社の本能によって、現在まで存続することが出来たのである。(補足3)今後、バイデンが米国大統領になれば中国に忖度する姿勢が益々強くなるだろう。
2)報道機関と巨大資本の政治姿勢
現代、もっとも重要な社会の枠組みは国家であり、その支配域の人口は1000万から10数億である。その中の一人が真理を語ったとしても、その声は小さく何の効果も及ぼさないという現実は自然である。
巨大企業やその団体は、その存続と利益のために、①新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアを支配し、国民世論の誘導を目指すだろう。それは、間接的に国家の政治を動かす。更に、②政治資金の拠出により、政治家の選出や活動の支配を目指すだろう。それが可能となれば、国民主權は形骸化して大資本主權の国家が出来上がる。インターネットの普及があり、情報の流れに変化が生じているが、依然このモデルに大きな変化は無いだろう。
米国でも(どの国でも)、最も強い存在は国家である。その主権者は現在の憲法の下では米国民ということになっている。しかし、米国民は巨大企業或いはその裏に存在する巨大金融資本のプロパガンダにより操縦されてきた。そのことが明らかにされたのが、トランプ政権第一期の大きな出来事である。
そのプロパガンダから自由になったとき、巨大金融資本らが戦争を利用して利益を得てきたこと、その結果として米国民多数が命を落としたことなどを知るだろう。戦争を利用して巨大化する図式は、多くの本にも書かれているネイサン・ロスチャイルドが英国で成功したものと本質は同じである。https://www.youtube.com/watch?v=5VBjVO2StUo
米国民は、自分たちの利益を最優先する政府を望むのは当然である。また、その動きで不利益を蒙り存立が危うくなる巨大金融資本や巨大企業が、それを封じるべく動くのも自然である。米国民にとって難しいことは、自分たちの利益を最優先するとしても、これら巨大資本等を潰すことは、結果として自分たちの首を締めることである。
その道は、優秀な知恵を集めて、戦略的に進まなければならない。トランプ政権は上記“大きな出来事”の主人公であるが、十分戦略的には動けなかったと思う。(補足4)もちろん、100年間で進められた現在の体制の変革には少なくとも30年ほどはかかるだろう。その第一段階としての仕事は十分したので、彼は偉大な大統領であると思う。
尚、日本では、②には一定の枠がはめられているように思うが、①は働いている。米国では、①②の両方が働いているように見える。(不十分かもしれません。知っている方の教授をお願いします。)
3)二つの理想論の崩壊:共産主義と民主主義
米国は民主主義の国を標榜してきたが、徐々に民主主義から民主主義の衣を着た専制主義へと変容してきた。その歴史的プロセスは、FRBの創設を許可したウイルソン大統領の時代から数えても100年ほどと長い。その最終段階は、所謂経済のグローバリズムと並行して進んだと私は考えている。
2020年の大統領選挙までは、マスメディアによるプロパガンダと洗脳により、国民の多くは「国民こそ米国民主政治の主人公だ」と信じて来ただろう。しかし、今回の大統領戦では、多くの大規模且つ組織的な不正があり、そして同時に、それを取り締まるべきFBIやCIAが機能しなかったこと、司法も対策や判断を避けたことなどから、政府全体が別の権力者に乗っ取られていることに多くの人が気付いた。
民主主義の基本的要件である言論の自由は、2020年始めまでは保障されていたように見えたが、それも2021年1月6日から2,3日を経て、全くの幻想であることが判明した。何故なら、上述のようにyoutube、Facebook、Twitterなどの“プラットホーム”提供の会社は、「11月3日の選挙に大規模な不正があった」という内容の投稿やそのアカウントを徹底的に削除する姿勢を示したからである。
現職の米国大統領のアカウント、更に、周辺の共和党の重鎮、親トランプの市民であるシドニーパウエル氏やリンウッド氏などのアカウントも、削除の対象になった。中国の言論弾圧とほとんど同じである。(補足5)
このプロセスは嘗て見た光景(歴史書に書かれている)に似ている。それは共産主義の理想論が、中世的専制政治に堕落退行した時の光景である。
共産主義の国では人民の平等を説く。それは数千年前の中国の古典にある「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う」にも書かれている、人類の理想である。更に、それをもう一歩進めた、「能力に応じて働き、必要に応じて取る」は、カール・マルクスのスローガンである。
その共産主義を看板に掲げた国が、ソ連であり中国であった。しかし、その後短期間で強烈な差別と言論弾圧を行う体制に堕落した。その光景と現在米国で進行している変化は、本質的に同じだろう。
共産党政権では、直線的に上記理想に向かって進むという前提で、一党独裁制を採用した。上記理想に進むに際して、必要な旧体制の打破は、法や倫理を無視して進められた。しかし、そこから理想論が描いた世界に近づくのは、数人の知恵と閉鎖空間での議論では無理である。
それには、本来、無限に知恵とオープンな議論、それに基づく着実な実行一歩一歩が必要である。この組織運営にはモデルが存在する。それは科学会が成し遂げた、科学の発展とそのプロセスである。それはギリシャ哲学の伝統と、キリスト教の精神や世界観に基づいて進められた。(補足6)
短時間で理想論が描く通りに事が進まないのは当たり前だが、その停滞感は共産党首脳を腐敗と残忍な方法による人民支配へ導いた。その事実に気付いた人は、頑丈な壁の牢屋に収容され、気付かない多数にはプロパガンダと誤魔かし(洗脳)が提供された。現在でもそれが共産圏諸国の現実だが、このままだと米国も同様な国になる可能性が高い。
米国がそのようになれば、ドイツなどヨーロッパ諸国もその後を追うだろう。中世への退行である。我々のリーダーであった米国は、何時からこのようになったのだろうか?(補足7)企業による政治献金の解禁がその一つの(単に一つの)ターニングポイントだろう。
4)米国の政治資金制度の変化と民主主義の崩壊
文献によると、20世紀中頃、企業や団体(労働組合)からの政治献金は禁止される様になった。つまり、その頃までの米国は、政治の主人公が国民一人一人であるという民主主義の国を目指していたようだ。(補足8)
しかし、1974年には連邦選挙運動法の改正でPACという献金組織が合法化され、2010年からは無制限に政治資金を集められるスーパーPAC(特別政治活動委員会)が利用可能となった。その結果、ニューヨーク・タイムズの報道によれば、2016年に民主党と共和党に流れた政治資金の少なくとも半分は、アメリカの130家族から来ているという。(補足9)
政治資金が少数の人から出て、しかし民主主義の原則をしっかり保持するということはあり得ない。トランプの大統領選挙で、漸く米国民の半分ほどが民主主義の危機に気付いた。しかし、その時点では末期のがん患者のように、完全な手遅れ状態だったようだ。
因みに、1970年代とはニクソンとキッシンジャーによる米中国交回復の時であり、2010年とはオバマ政権が始まって2年目である。1970年代〜2010年代は、主に中国の奴隷的労働者(https://www.youtube.com/watch?v=UwiiM_V0zkA)と米国の資本が結託して進める、米国ウォール街と中国共産党に資本を積み上げるシステム(グローバリズム)の誕生と完成の時期と一致する。
オバマ政権では、上記スーパーPACの他、巨大金融資本の手先として働く将官レベルの公務員(SES、senior executive service)を政府中枢に置く制度が完成し、「知られざる世界権力の仕組み」が出来上がった。グローバル経済とは、この新世界秩序の経済的側面だと考えられる。
尚、上記「」内は、ユースタス・マリンズの本の題名であり、その副題は、ロスチャイルド&ロックフェラー帝国(キッシンジャーはこの大資本の手先であると言われている)の全貌である。尚、この本の日本語訳27ページに、ワシントン・ポストの論説欄で哲学者のネイサン・ガーデルズが「新世界秩序(権力)にとっての理想的地域は合衆国ではなく、中国となるであろう」と警告したとある。
上記本は2020年までは陰謀論を語った本として片付けられてきたようだが、今回の米国大統領選挙で、我々は真理がこの陰謀論の中にこそ存在することを知った。トランプの最大の仕事は、このことを米国民を含め全世界の知識人の頭の中に叩き込んだことだろう。それが業績として褒め称えられるものかどうかは、今後の米国民が答えを出すだろう。
(17:30助詞等日本語の編集;19:00 文章の編集、補足7の追加;翌朝6:20 数箇所文章修正)
補足:
1)言葉を聞いた時、聞いた人には三つの反応が考えられる。①そのまま受け取ること、②全く反応しないこと、③逆に受け取ることである。しかし、ほとんど全ての人間がデフォルトとして、①「そのまま受け取る」様に設定されている。それは、自分の共同体に生きる人間にプレインストールされた思考形式である。
更に①は、私の持論である「言葉と宗教と社会は三本螺旋のように成長した」ことの当然の帰結である。もちろん、言葉は自分の共同体内で使われることが前提であり、社会の外は、中世までは原則として、敵であり抹殺されるべき存在である。
2)社会は、部族から国家、更に国際社会(一部だけだが)と、地理的に拡大した。そして、文明化社会の出現により、事の詳細は専門家だけが理解できるほどに深くなった。この平面と深さ高さの両方向で、自分という点から、問題となる現象の間の距離は遠くなった。例えば、「地球温暖化と二酸化炭素濃度の関係は大きくない」と言っても、そしてそれが真実だとしても、インチキ説の方が力強く世界に広がる。それは利益を受ける人のプロパガンダによる。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12640079446.html
3)株式会社は利益をあげるための組織である。そこでの判断の基準に真実はない。真実に従う姿勢は、唯一、公益を追求する筈の国家組織の監督下で強要される。国家組織の指導力が弱ければ、虚偽の情報も流すのが普通である。朝日新聞の報道姿勢は、戦前は大日本帝国政府、そして戦後はGHQを忖度して嘘を流し続けた。それは現在の米国のTwitter, Google, Facebookの姿勢でもある。
4)戦略的に動くとは、多分大企業や大金融資本を味方に取り込み、変化の方向に導くことだろう。(数年では恐らく無理なので、この部分は書きすぎかもしれない。)
5)現職の米国大統領の公式アカウントさえ削除したツイッターの姿勢と、それに対して捜査が入らないとした場合、米国は民主主義の国でも、言論の自由が保障された国でもないことが明確に示されたことになる。なお、この大統領の公式アカウント削除の件については、張陽チャンネル(youtube)が解説している。https://www.youtube.com/watch?v=MWmJYdlx774
6)何故、ソ連や中国の体制を運営する思想の共産主義が「科学的社会主義」と呼ばれたのか不思議である。その方法論は、科学のとった方法論とは似ても似つかない。
現在までの自然の理解は、「恐らく数百万人以上の多数の、平等でオープンな議論と着実な一歩一歩」により、コペルニクスから数えても500年という長期間の努力で構築できた。因みにノーベル賞の弊害は、この科学の発展が数百名程度の天才によりなされたという誤解を一般民に与えることである。
7)このプロセスは、まともに議論することはタブーとなっている。国家を持たない優秀な民族は、多民族にとって厄介な存在となるだろう。
8)米国の政治資金制度に関する藤本一美(専修大学法学部教授;詳細はウィキペディアにある)という方の解説によると、1907年にティルマン法(Tillman Act)が制定され、企業による献金が禁じられた。その後、1940年代になると、タフト・ハートレー法(Taft-HartleyAct)などによって労働組合の寄付も禁止された。https://www.lec-jp.com/h-bunka/item/v235/pdf/200401_28.pdf
9)一年ほど前のブログ記事において、伊藤貫氏の講演等を引用してこの事実に触れた。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12642308794.html
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