1)社会の発展の歴史と社会の隙間を拡大して支配を目指す民族:
人は社会を形成し、互いに助け合うことで生きている。その“助け合い”を金銭の授受を介する経済行為として、円滑且つ合理的に行うのが貨幣経済の社会である。貨幣によるサービスの授受は、心理的圧迫を感じないので、情を基礎とする共同体のウェットな関係からの開放という利点もある。しかし、人間関係の希薄化や、共同体としての自覚の喪失などの危険性を孕む。貨幣経済の社会は、金銭関係のトラブルを避けるためもあって、その後「法と契約の社会」に進化した。(補足1)
近代化の歴史は、社会を「共同体型」から“法と契約”による「機能体型」に変換することと理解できる。民主主義の国なら、機能体である国家の本来の目的は、国民の安全と福祉の向上である。しかし、民主主義が衆愚政治に堕する現状では、その目的は短期間に支配層の利益に置き換わる。(補足2)
支配層は、国民と政治の間に介在するものにより決定される。その介在するものとは、国内外の大資本家とその集まりや外国の諜報活動などにより仕組まれた、政治家への利益供与(私的利益や選挙資金)や工作活動などである。“法と契約の人間関係”の社会において、血液の様に流通するのが、お金なので、政治における支配者の実態などを知るには、目や耳で得る情報よりも、お金の流れ(その額と方向)に関する情報の方が頼りになるだろう。
この情の支配から金銭の支配への社会の変革は、米国で最も進んでいる。それは、既存の共同体に入りにくい離散の民が、英国やヨーロッパから米国に移住して、全米を金融で支配した結果である。このユダヤの民の英米における活躍に関して、東住吉教会の高原氏が、同志社大における講演で解説している。異なった視点からではあるが、非常にがわかりやすく参考になる。https://www.youtube.com/watch?v=n2WzaNFKP80
このマイノリティである民族が、マイノリティーの権利拡大の要求を掲げて米国を支配し、その後米国を中心に世界支配を目指す思想がグローバリズムである。一つの地域でマジョリティに属した人でも、グローバルに活動する時、大半の時間をマイノリティとして生活することになるので、マイノリティの権利が大幅に拡大できれば、経済活動において、そして続いて政治において、国境の壁は徐々に意味を失うだろう。
尚、この法と契約の社会から最も遠いのが、日本の伝統社会である。近代社会となっても、例えば、会社員は会社というコミュニティの一員であり、その中の一つのセクションも、一つの共同体的性質を帯びる。入社式は、その会社の一員として共同体に参加するための儀式であり、アフター5の飲み会も会社の延長上にある。この世界の時代の流れに取り残されたのが、経済低迷の原因である。(補足3)
2)マイノリティの権利拡大から世界支配の戦略
その一方、金銭を媒介とした法と契約の社会では、人情の希薄化と荒む社会いう基本的問題を孕む。その共同体を破壊する現在の資本主義社会の危険性は、クラシックな課題だった。日本でも「家族という病」という本を書いた人がいる。本末転倒を正常だと信じる病的な頭脳の人の著作である。
上記離散の民は、個人の間に隙間を生じた“法と契約の社会”がむしろ棲みやすい。彼らの一流の知恵が、米国の政治を支配するために用いたプロパガンダが、マイノリティーの権利拡大であり、ポリティカル・コレクトネスであった。(補足4)
個人の尊厳を保ちながら、互いに協力するのが民主社会のあり方であるが、それには所得の再配分が必要である。しかし、上記グローバリストたちは、資本の論理を前面に出して、民主社会の本来の目標を放棄し、自分たちの世界戦略を優先している様に見える。米国のマジョリティにとっては政治の歪曲である。それは、金融資産の偏在の結果であり、且つ原因でもある。(補足5)
金融資産を資本の論理のままにして制限を設けなければ、巨大化した金融資本は人間社会を支配するようになる。現在、グローバリスト (固有名詞)の目指しているのは、金融資本(儲け)を最大化するという(微分)方程式で動く機能社会である。それは高度な社会を実現しつつあるが、人間社会の本来あるべき共同体という基本を無視する社会となっている。(補足6)
その結果として生じた金融独裁国家は、共産主義独裁国家と同様、非人間的国家の典型である。前者を米国が代表し、後者を中国共産党政権が代表する。今回の米国での大統領選は、人間的国家を目指したトランプ政権を、民主党やSES(上級執行官)を操る金融資本が違法選挙で潰すという手法で、民主国家への回帰を妨害した。独裁国家では、三権分立や法治の原則などは存在しない。
3)終わりに:
なかなかグレート・リセットの議論に進まないが、今回ここで終わる。
一言でグレート・リセットを評価すれば、グローバリストの新た戦略に過ぎない。しかし、同じグローバリストであるが、習近平とジョージ・ソロスで対立が生じている。https://www.nikkei.com/article/DGXKZO56076600W0A220C2TCT000 この対立は、本物なのか出来レース的なものなのかわからない。何れにしても、次期米国政権には、トランプではなくポンペオの就任が反グローバリストにとっては、最高のシナリオだろう。
(18:00 表題変更; 一部編集;翌朝数カ所、日本語の修正あり)
補足:
1)現在では共同体として最後に残る夫婦関係や親子関係までもが、法と契約によって規定され、機能体社会に組み込まれる。米国では子の進学費用は、子の自己負担となっているし、最近では同性間の結婚も法により認められている。
2)インターネットの時代になり、政治が専門家だけのものではなくなった。そこに、民主主義が衆愚政治から脱する可能性がある。それをいち早く危惧したのが、米国のブレジンスキーである。つまり、ユダヤ人脈による米国の支配を脅かすのは、インターネットをメディアとする真の民主主義の出現である。トランプはそれに注目して、国民との直接的対話を目指した。フェイスブックやツイッターがそれを妨害したことは、重大な反民主主義的行動である。
3)日本が法と契約の社会に最も遠い先進国であることは、日本の経済低迷とかんけいしている。このことは昨年「日本の生産性をダメにした5つの大問題について」と題する記事として書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12564206453.html
4)現在の国家は、複数の共同体を束ねて一つの共同体とするプロセスを、複数回繰り返して出来た。その共同体の融合には、強圧的な方法(非民主国)もあるが、民主国では新しい理念の創生を必要とする。日本の場合は、天皇が果たした役割が大きい。米国の場合は、独立のときの統合の理念がある。その共同体としての国家に、故意にマイノリティとマジョリティという形で分断線を組み込むのは、国家の転覆の危険を犯す卑怯なやり方である。
尚、ユダヤ資本家が日本に憎しみを持つ原因が長い間わからなかった。第二次大戦時など、関東軍の一部跳ね返り(https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516004.html)を除いて、最もユダヤ人に優しかったのは日本であった。それにも拘らず、何故ユダヤ資本家が日本を憎むのか。勿論、桂ハリマン協定の破棄など、満州利権も一つの原因だろうが、本当の原因は、彼らの持たない“人類のふるさと”的共同体を、未だ日本が持つからだろう。
5)私の定義では、善悪とは共同体社会の言葉である。人間社会のあり方は、共同体の善悪を維持した機能体である。 https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12647466031.html
6)その米国金融資本が利益を最大化するために作り上げたテーマは、脱炭素或いはグリーン・ニューディールである。
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