トランプがおとなしく大統領の席をバイデンに譲り、バカみたいなセリフを残してホワイトハウスを去った。トランプの最後のスピーチを幸福実現党の及川幸久氏が紹介している。及川氏が、こんな言葉を褒めるのは意外だった。
トランプの言葉は、以下のような内容である。①私達の政治テーマは、右とか左とかではなく、国家にとっての正しさだった;②自国の価値観、歴史、英雄への信頼を失った国が長く繁栄することはありません。それらが、国家の団結と活力の源だからです;③米国では全員が意見を一致するよう強制されたり、勝手な言論をしたら罰せられたりしません。これは米国ではありません。
こんなセリフは、当たり前であり、改めて紹介するほどのものではない。及川氏はまた、株価上昇をトランプの業績として高く評価されているが、それはFRBに敵対して行った大幅な金融緩和にある。どんどん金をばらまけば、株価はあがる。それは将来の物価高を見越して、貨幣を実物資産へ変換しておきたいという投資家の思惑の結果である。ビットコインも金も値上がりしているのも、同じ効果。そんなこと及川氏が分からない筈がない。
1月15日の記事「トランプは実業家であり政治家ではなかった」にも書いたが、トランプが米国の政治の実態を明らかにしたのは大きな業績である。そしてその対策として、反グローバリズムの姿勢をとった。
トランプは、米国を主権国家体制に戻すために人物を集めて、米国の力を背景に中国経済とのデカップリングを政策の中心においた。強力なバネで結ばれた中国共産党政権とニューヨーク巨大資本を引き離そうとしたのである。トランプは、その作戦と陣容を敵対側に見せたところで第一期目が終了した。
ここでグローバリズムを理解するために、世界経済フォーラム(WEF; ダボス会議で知られる)の創始者であるスイスジュネーブ大学教授によるWEFを紹介する言葉を引用する。
「グローバル化(globalization)とは、技術がもたらす(地球規模の)現象である。一方、グローバリズム(globalism) とは、国益よりネオリベラリズム的な秩序を優先させる思想である。グローバリズムは,時に一部の国家・企業が,他者の 犠牲の上に利益を貪る事象を引き起こす。そこでWEFは過去に学び,技術がゼロサム的社会を生まぬよう,時代に沿うアーキテクチャを創ろうと呼び掛けた」
従って、グローバル化は歴史の必然であるが、グローバリズムという主義(イズム;ism)は、その副作用或いは弊害として現れた政治思想である。グローバリズムは、中国の奴隷的低賃金労働と、米国を中心とした巨大資本、中国共産党政権を因子とする、世界経済支配のメカニズムとして成長したことが、それを裏付けている。中国はその利益を軍事増強に廻し、それを超限戦と厚黒学で育てようとしている。(補足1)
話を元に戻すと、グローバリストらにとって好機である大統領選挙に際し、ウォール街大資本や民主党、更に、選挙に介入したと言われる中国などは、真実や法治などの原則を無視し、あらゆる方法と力を用いてのトランプ潰しを行った。
そして、米国をグローバリズム側と主権国家側に分裂させる可能性を含む「遷移状態」に持ち込んだ。それは、トランプ政権側近には予測の範囲にあったが、その後の混乱を恐れたのか、トランプは最後のところで身を翻した。私は、ここで思い出したのは、韓国セウォル号の船長だった。
その他の乗務員に対応するのは、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、ポンペオ前国務長官、マイケル・フリン、シドニー・パウエル、各氏などであり、乗客は7400万人のトランプ支持者である。トランプは切り札を用いることなく、一人平穏にホワイトハウスを去った。4年後の立候補もあり得るという言葉もあるが、それは絶対にあり得ない。ポンペオも何らかの形で、少なくとも政治の世界から追放されるだろう。
今回、グローバリストのトランプ潰しは、新型コロナの死者200万人があっても、更に、法や人権無視を世界規模で用いても、成功裏に終わった。そして、米中を経済で結ぶバネは急速に元に戻ろうとするだろう。この成功体験が、かれらグローバリストに何でもできるという自信を与えたとするなら、トランプは最悪の大統領ということになる。
2)グローバリストによる世界支配:
上記世界支配を目指すグループは、着々と国連やその傘下の国際機関(例えば、WHO)などを支配下に置き、世界の新秩序つまりグローバルな共産主義帝国で世界支配を目指し動いている。(補足2)
そこで新型コロナ肺炎は、マスク外交からワクチン外交など、その道具となっている。彼らが何となく新世界秩序という概念を創り、それに期待するのは分かる。しかし、あまりにも獏とした思想に集まる人は、永遠に一枚岩的になれない。その場合、それまで共同で行った旧秩序の破壊は、人類を以前より悲惨な情況に落とすことになる。繰り返しになるが、トランプはその切掛を作った。
WHOなど国連が既に中国の支配下に入っていることが明白である。新型コロナを世界に広げたのは、中国とWHOの人人感染を隠蔽したことである。それは、周知の事実である。更に、ウイグルや香港での中国の行政が、国連では支持を集めている。(補足3)
そんな中で注目されるのが、独立系の国際機関である。その中で、世界経済フォーラム(ダボス会議)が注目されている。しかし、そこでも中心的役割を果たそうと努力しているのが中国である。(補足4)習近平は2017年に基調講演をし、2021年の1月25日の「ダボスアジェンダ」対話会でも、同会議の創設者シュワブ教授の招きにより特別講演をする予定のようだ。この件、出来れば別に議論する。
補足:
1)中国共産党政権は、中国に経済進出する資本には、中国での合弁を義務付けた。その合弁により利益の半分は中国共産党支配下の機関や個人に流れ込む。それは、中国の軍事予算や世界でのプロパガンダに用いられた。これでも米国グローバリスト政権は、中国をWTO(世界貿易機構)に加盟させた。
2)中国武漢での流行は2019年11月頃であり、12月には眼科医の李文亮医師も武漢での流行を明確に把握した。しかし、そのSNSでの発信を知って逮捕し、死に至らしめた他、WHOと結託して人人感染の可能性を否定し、春節前に全世界に数十万人の観光客をウイルスと一緒にばら撒いた。
3)人権問題について話し合う国連総会第3委員会で、欧米諸国や日本など39カ国が、中国の香港や新疆ウイグル自治区の状況に「重大な懸念」を示した。しかし、それを上回る数の国々が中国を擁護した。これは、中国がアフリカなどの国々への工作により、既に国連を支配下においている事を示している。https://www.asahi.com/articles/ASNB833SDNB7UHBI015.html
4)習近平の同会議への参加について華報道官は以下のように述べた。「新型コロナウイルス感染症がいまだに世界的に広がっており、世界経済は深刻な不況に陥り、グローバルな課題が山積し、人類は再び当てのない岐路に立たされている。中国はこの対話会が世界的な合意を築き、世界的な相互信頼を再構築し、世界的な協力を高め、アイデアを出し合い、今日の国際社会が直面している課題の解決に貢献することを期待している」。中国のこれ迄の姿勢を知る人と知らない人では、この言葉の解釈が全く異なるだろう。共同体の内部では情報交換の有用な道具である言葉は、共同体の外では武器となることを知るべきである。https://www.afpbb.com/articles/-/3327346
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