注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2019年1月23日水曜日

日露平和条約は原点に戻って次以降の政権が締結すべき

1)NHKテレビで今日午前7時、昨日の日露首脳会談についてのニュース報道があり、会談後の記者会見におけるプーチン大統領の話が、抜粋の形で放送されていた。それを聞いた限りでは、1956年の日ソ共同宣言の様に、二島を日本に引き渡す約束を記した平和条約締結の話は、幻であると強く感じた。

先日の外相会談で明らかになった日露間の大きな隔たりと、しかも25回目で3時間という長時間の首脳会談のあとの具体性のない記者会見の内容から考えて、未だに峠の3合目位のところで改めて高い頂上を眺めることになったのは間違いない。厄介なのは、日本とロシアの両首脳が異なった頂上を眺めているらしいことである。

以上は、極普通の印象であることが、今朝の「おはよう寺ちゃん」での評論家佐藤健志氏の解説でも確認できる。その中で佐藤氏は、“プーチン大統領は歯舞や色丹を引き渡さないで、経済協力を引き出す”ことに目標を設定していると明言している。

その証拠の一つとして、交渉前日の21日、ペスコフ大統領報道官は、「交渉は未だ初期段階である。条約締結の難しさについて皆が現実的になろう」と言う一方、「日本もロシアも国益を手放す可能性はない」とも言ったことを紹介している。https://www.youtube.com/watch?v=i2Fz_Vl6_4Q

安倍総理の対露外交は、日本の国益を優先する方向よりも、平和条約を締結したとして歴史に名を残す方向で、行われているという見方もある。つまり、安倍外交はプーチンに金だけ取られるスタンプラリー外交だという嶌信彦氏の見方が、より現実的である。https://blogos.com/article/350249/ 

もし二島さえも日本に譲渡されないのなら、経済協力に話を限って別政権で条約交渉をゼロから始めた方が良いだろう。(補足1)

2)バラバラの日本側報道について:

この日露平和条約交渉に関しては、数日前に二度書いている。1月18日に書いた文章の通り、余程のことがない限り歯舞色丹両島返還を伴う日露平和条約締結は難しいだろう。佐藤健志氏が上記動画で発言しているように、「条約締結をするのなら、日本は譲歩すべきだ」というのがロシア側の本音だろう。日本政府は、最近のロシア側の発言等全てからこの本音をしっかりと抽出し、反芻すべきだろう。

一方、今日の日経新聞によるネット記事には、“日露平和条約「更に前進」、首相、プーチン氏と会談”という標題で書いている。その中に:

プーチン氏は記者発表で、平和条約の締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡すことを明記した日ソ共同宣言に基づき、「平和条約締結を目指す」と明言した。

という文章がある。

日経の記者は、普通の感覚を持ち合わせていないのかもしれない。もし、それが本当にプーチンの口から出た言葉なら、その前後に大きな別の言葉があった筈である。つまり、それに相当するレベル以上の強力な経済協力が不可欠だというセリフである。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40346220T20C19A1000000/?n_cid=NMAIL007

  中日新聞朝刊一面でも、表題は「日ロ首脳 領土問題で一致」だから驚く。その三面には主権に関する主張における両者の隔たりを書いている。そして、日本側が、北方4島の主権を第二次大戦後も放棄していないと書いている。つまり、中日新聞には日露平和条約締結を妨害する意図があるように見える。(補足2)

18日の記事の追補として、同じ佐藤姓でもう一人の有名な評論家、佐藤優氏の意見を掲載した。その時引用した動画(https://www.youtube.com/watch?v=VD9E8sLNzK0)において佐藤優氏は、「交渉は上手く行っている」と何時もの楽観論を披露した。

安倍総理は、予断をもたないために、鈴木宗男氏や佐藤優氏の意見はあまり聞かない方が良かったようである。兎に角、報道機関も評論家も、視聴者や読者ではなく何かもっと巨大な組織の利益を考えて話をしていると考えられる。記事や話には、スポンサーの併記をお願いしたいくらいだ。

補足:

1)本音で感想を述べれば、プーチン大統領によるルアー・フィッシングのように見える。河野外相にルアーであることを暴露したラブロフ外相は、正直者だったということかもしれない。
http://omohituki.blogspot.com/2009/02/blog-post_19.htmlより借用

2)何度も同じことを書くのだが、サンフランシスコ講和条約締結後の国会審議で、国後と択捉を日本側は放棄しているという答弁が政府によりなされている。 ウィキペディアの「北方領土問題」の引用16-19参照 四島返還論を言う人たちの本音は、「日露平和条約を妨害したい」である。 歯舞、色丹の領有権の主張も無理があると、最近考えている。それについては、別に短い文を書く予定である。

0 件のコメント:

コメントを投稿