1)緊急事態宣言の期限延長の理由がわからない
新型コロナ肺炎に対する様々な規制は、今年3月14日に施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下特措法)に基づいて行われて居る。政策決定の際に、西浦博北大教授が行なった計算が大きく影響した。この方は厚労省のクラスター対策班に入っているようだ。https://iwj.co.jp/wj/open/archives/473543
つまり、何も拡大防止策を行わなければ、42万人が死亡するという推計である。首相は、そのシミュレーションの一部を引用して、二週間後に1万人、1ヶ月後に8万人の感染者を出すと説明して、緊急事態宣言に踏み切った。
https://mainichi.jp/articles/20200415/k00/00m/040/087000c
その緊急事態宣言を発表する中で、首相は接触機会を最低7割、できれば8割削減してほしい。そうすれば、二週間後には感染者数をピークから減少の方向に向かわせることができるとも話したが、それ以降の計画には触れなかった。
https://www.fnn.jp/articles/-/29750
最近では、政府が発表している一日あたりの感染者数は減少に転じている様に見える。そして、緊急事態宣言を出したときから1ヶ月目の5月8日には、感染者数が8万人になるという緊迫した事態は避けることが出来る筈である。それでも、あと概ね一ヶ月宣言の有効期限を延長するという。一体なんのためなのか?
この特措法による緊急事態宣言による規制の具体的な目標は何か?
今回延長になったのは、そのどの部分で目標に届かなかったからなのか?
国民の保健衛生にどの程度のプラスの効果と、国民の経済にどの程度のマイナスの効果を予想し、その兼ね合いをどう考えてこの規制延長をおこなったのか? 分からない。(補足1)
特措法第6条5項には、「内閣総理大臣は、前項の規定により政府行動計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない」とある。その他の学識経験者の意見はどうなっているのか?
衛生と経済の両分野の専門家による議論を、規制の継続/撤廃を選ぶ際の参考にすべきである。そして、角を矯めて牛を殺す愚を犯してはならない。
しかし、安倍内閣は、その愚を犯しているように見える。大不況の可能性はそこまで来ている。現在、多くの方の意見は、このウイルスとは長い付き合いになるという考え方で、ほぼ一致している。そのためには、社会全体にこのウイルスに対する免疫(集団免疫を含めて)を築いていくべきである。その場合、スウェーデンの方式が正しいだろう。(補足2)
ここで注意しなければいけない事がある。それは、この問題が、政治屋の道具になりつつあるということである。その指摘は、米国ではテスラ社のイーロン・マスクによりなされた。それは米国内だけでなく、世界を視野に入れての発言だろう。https://www.youtube.com/watch?v=IW9E8bORgWg
つまり、敵対勢力の切り崩し、或いは、敵対国の経済/政治破壊には、強力な規制或いは都市のロックダウンをしてもらう方が良い。ヨーロッパ諸国が経済活動再開に動き出したのは、これでは経済的に疲弊し、第二波第三波により、自国とその周辺との経済的繋がりも絶たれ、自由社会が破壊されることに気付いたからだろう。(補足3)http://tanakanews.com/200504sweden.htm
昨日の緊急事態宣言の有効期限延長は、感染症対策としては正しいかもしれないが、政治的には愚かな決断だっただろう。そして、漠然と気になったのが、専門家会議や有識者会議の「専門」とは何かである。尾身茂氏が率いる二つの組織について若干調べて見た。
2)安倍首相と尾身茂会長の二足のわらじ?
この件の政府の対策において重要な役割をしていると思われるのが、最初に書いたように、専門家の意見である。そこで調べてみると、この専門家の作る会議には二つあった。表題は、それを表して居る。安倍首相の二足のわらじは、内閣総理大臣と特措法上の対策本部長である。
特措法第6条5項には、「内閣総理大臣は、前項の規定により政府行動計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。」との記述がある。
また特措法18条4項にも、「政府対策本部長は、基本的対処方針を定めようとするときは、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない」との記述がある。
内閣が意見を聴くのが、新型インフルエンザ等対策有識者会議(5条、以下有識者会議)であり、特措法に基づいて内閣に設置される、対策本部長の下に位置するのが、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(18条、以下専門家会議)なのだろう。
これらの規定には、その他の学識経験者という項目がある。それは、内閣の決定は多くの面からの考察を経てなされなければならないという考えの下に加えられたのだろう。しかし、下の組織構成員には、その他学識経験者に相当するのは、弁護士二名のみである。そこには経済の専門家は一人も居ない。
その両方に所属する尾身茂という人は、有識者会議の会長であり、専門家会議の副座長である。安倍さんは、総理大臣と対策本部長の二足のわらじを履き、尾身茂氏も有識者会議の会長と専門家会議の副座長という二足のわらじを履くのである。何という不可思議な政治システムだろう。一体、何を目的にして作られたのだろうと不思議に思う人は多いだろう。
つまり、この種の専門家会議や有識者会議は、日本では政府の決定に権威づけするための装置であり、政府の政策決定に大きな力にはならない。日本には、外部から人を招いて何かを議論し方針を決定するという文化はない。これは日本の弱点であり、何度も書いてきた。下に示したお粗末な人選もそれを示している。
https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_23.html
以下に名簿を記載しておく。このセクションの冒頭で、重要な役割をしていると思われるのが、専門家からの意見であると書いたが、下記組織には、あの42万人死亡すると試算を公表した人は居ない。幽霊の正体見たり枯れ尾花。
新型インフルエンザ等対策有識者会議
基本的対処方針等諮問委員会
会長: 尾身 茂 独立行政法人地域医療機能推進機構理事長
会長代理: 岡部 信彦 川崎市健康安全研究所長
押谷 仁 東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授
釜萢 敏 公益社団法人日本医師会常任理事
河岡 義裕 東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長
川名 明彦 防衛医科大学校内科学講座2(感染症・呼吸器)教授
鈴木 基 国立感染症研究所感染症疫学センター長
田島 優子 さわやか法律事務所 弁護士
舘田 一博 東邦大学微生物・感染症学講座教授
谷口 清州 独立行政法人国立病院機構三重病院臨床研究部長
朝野 和典 大阪大学大学院医学系研究科感染制御学教授
中山 ひとみ 霞ヶ関総合法律事務所 弁護士
長谷川 秀樹 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長
武藤 香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授
吉田 正樹 東京慈恵会医科大学感染制御科教授
脇田 隆字 国立感染症研究所所長
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議
新型コロナウイルス感染症対策本部の下、新型コロナウイルス感染症の対策について医学的な見地から助言等を行うため、新型コロナウイルス感染症対策専門家会 議(以下「専門家会議」という。)を開催する。
座 長 脇田 隆字 国立感染症研究所所長
副座長 尾身 茂 独立行政法人地域医療機能推進機構理事長
構成員: 岡部 信彦 川崎市健康安全研究所所長、
押谷 仁 東北大学大学院医学系研究科微生物分野教授、
釜萢 敏 公益社団法人日本医師会常任理事、
河岡 義裕 東京大学医科学研究所感染症国際研究センター長、
川名 明彦 防衛医科大学内科学講座(感染症・呼吸器)教授、
鈴木 基 国立感染症研究所感染症疫学センター長、
舘田 一博 東邦大学微生物・感染症学講座教授、
中山 ひとみ 霞ヶ関総合法律事務所弁護士、
武藤 香織 東京大学医科学研究所公共政策研究分野教授
吉田 正樹 東京慈恵会医科大学感染症制御科教授
補足:
1)西浦教授は、上に引用した記事によると、現在の感染者数は発表の10倍ほどだと言ったようだ。そんないい加減な推定で政治が動いているのか? なぜ、PCR検査を諸外国の半分でも良いから、そのレベルまでしないのか? 抗体検査で感染者の割合が出せるのに、なぜしないのか? この疫病を利用して、敵対国かなにかが日本破壊に利用しているという意見もネットにはある。
2)コロナウイルスは変異が早く、集団免疫がついたとしても、永続しないという説がある。これは一部事実である。しかし、東アジアでは欧州に比べてその被害が一桁以上小さいのは、BCG接種がなされているからだという意見があることも考えるべきである。つまり、免疫は1か0の世界ではない。今回集団免疫ができれば、変異株が大流行したときにも一定の効果がある可能性が高いと思う。
3)田中宇氏のメルマガ(すぐ下に引用)は、都市封鎖や国家の封鎖により、EUの破壊がすぐ起こると指摘している。
0 件のコメント:
コメントを投稿