トランプはWHOから脱退を宣言した。それを「堪忍袋の緒が切れた」と形容するのは宮崎正弘氏のメルマガである。その一方、WHOに責任をなすり付けて、その背後の大悪北京については、制裁できないのかもしれないと疑う中国の方(ハンドル名:MOTOYAMA)もいる。私は後者が正しいと思う。https://www.youtube.com/watch?v=XiNDY9tDaeM
トランプは、人権や法治原則など米国の看板思想(補足1)には無関心であり、利益を第一にする点で中国の習近平と似ているのだろう。習主席に、大統領選では農業票が大事なので、大豆や小麦の購入を依頼したとか、ウイグルのキャンプ建設に賛成したという話があるが、それも100%嘘ではないだろう。
7月2日に上院に於いて全会一致で可決した香港自治法案を机において、もう一週間になる。未だ署名していない。その代わり、WHOから脱退した。新型コロナの責任をWHOに負わせて、中国の責任追及をしたくないのだろう。(上記動画の19分)
トランプ政権の内部に中国を追い詰めることに反対する人が二人いるという。 娘婿のクシュナー氏と財務長官のムニューヒンである。要するに、ウォール街やユダヤ系の人は、差し当たり中国と住み分けるという考えを持っているのだろう。(上記動画17分過ぎ)
そのようなホワイトハウスの姿勢を報じた記事が、香港のメディアから出ていた。(South China Morning Post, 6/25)米国の政治専門誌のPoliticoの記事の転載である。Politicoの記事の表題は:GOP senator blocked China sanctions bill he supports, at request of White Houseであり、翻訳すると、「共和党上院議員が支持する中国制裁法の成立をホワイトハウスの依頼で止めに入った」である。(補足2)
この香港自治法案は、上に書いたように7月2日に成立したが、その後トランプによる署名がなされていない。上記記事は6月25日のものだったので、この署名の遅れは、上記記事の信頼性が高いことを証明している。
ピーター・ナヴァロ(この類の人達をChina hawkと呼ぶらしい)などの考えは理解できるが、もはや時代はそれを許さないのだろう。この法案の成立を7月3日に報じたNHKの記事も、アメリカ議会 “香港自治法案”通過 提案議員「我慢の限界」という表題で報じている。
但し、我慢の限界は、ちゃぶ台返しを意味しない。上記のポリティコの記事などでも分かるように、建前上法案を通さざるを得なかったというだけである。これから、米国は落とし所を探すことになるだろう。そして、日本は習近平の招聘の準備をすることになるのだろう。(補足3)
バイデンが、そのトランプを批判すれば、大統領当選間違いなしである。天秤ばかりがひっくり返るようなことを、どんでん返しという。このどんでん返しの結果は、「大山鳴動ネズミ一匹」の記事で心配した通りである。結局、2年前の西部邁氏との議論で伊藤貫氏が言っていたように、米国は中国依存から抜け出せないのだろう。そして悲しくなるのが、日本の情報能力のなさである。
あの馬渕睦夫元ウクライナ大使や何時も重要な知識を与えてくれる及川幸久氏らが、トランプ支持を何時まで続けられるのだろうか?
補足:
1)人権、平等、法治主義などは、米国の国是だとしても、それは所詮表向きのものである。もっとも、国家とは表向きがもっとも大事だろう。
2)その結果、中国の香港への継続的な介入に対し強制的制裁を課す超党派法案は、広範な超党派の支持があるにもかかわらず、米国議会で足踏みをしています。
https://www.politico.com/news/2020/06/24/kevin-cramer-blocks-china-sanctions-bill-338246
3)今日、ハーバードやMITが留学生のビザ制限について、訴訟を起こした。トランプ政権の対中国留学生の入国制限が、私立大学経営に障害となっているからである。中国は計画経済に戻ることまで考えていると、6月25日のブログ記事に書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606678556.html
あれは、「貴国はこのレベルの覚悟が出来ますか?」という米国に対する脅しなのだろう。
7月5日には、本格的に中国制裁に動く可能性が少し出てきたと書いた。それは、ポンペオ国務長官の「中共が各国に選択を迫っている。その選択とは、米中のどちらかではなく、自由と暴政のどちらかを選ぶかである」というかっこ良い言葉があったからだが、一流の口先パーフォーマンスだろう。中国は安心して、香港を飲み込み、その4400億ドルの外貨を手に入れたのだろう。
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