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2020年7月20日月曜日

議論の無い日本(II) 新型コロナ戦略も結局個人レベルで立てるしかないのか?*

1)東大の先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が、昨日の参議院予算委員会で、このままでは東京が感染大爆発の中心地になると、エピセンター(震央地)という新しい言葉を使い、声を震わせて警告している。(今朝のテレビ番組グットラック)

 

その一方、元衆議院議員で元財務省官僚の松田学氏の持論は、COVID-19(新型コロナ)は「ただの風邪」説。その説を、同級生の東大卒の現場医者と共有する。

 

その松田氏だが、昨日公開したyoutube動画で、京大大学院医学研究科の特定教授(補足1)の上久保靖彦氏を呼び、「日本では既に集団免疫が出来上がっている」という説を話してもらい、ご満悦の様子。https://www.youtube.com/watch?v=hF0HBmIFWMs&t=1514s

 

国会議員や国民一般という素人の前で、これらの専門家が全く別の意見を発信している。彼ら情報発信者やその周囲の者たちは、それが不自然だとおもわないのだろうか。私は、後者の動画には、「反対の意見を持つ人を呼んで議論してほしい。松田さんが好きな話を反論なく聞いている動画に一体どれだけの説得力があるのか?」というコメントを残した。しかし、それは殆ど支持されない意見である。

 

この国には議論はない。隣の大国同様、日本を含めアジアの国々の人たちは、議論が重要だとする文化を持たない。ギリシャ時代からの西欧文明が、現在の発展した科学技術社会を、無限とも言える議論の結果として作ったと、ブログで発信しても何の反応もない。発信者の私は、ただ虚しくなるだけである。

 

2)議論の無い社会では、高度な機能社会(機能組織;ゲゼルシャフト)は作れない。日本は、低い労働賃金の間に先進国の輪に入ることができても、その後壁にぶつかり、30年のデフレ時代に入ってしまったのは、高度な機能組織としての会社が作れないからである。

 

つまり、「会社は社会の公器である」というパナソニックの創業者の言葉を、いまだに金科玉条としているのである。公器であるから、雇用をまもることを最優先するが、それは別の角度からみれば、それらの会社は労働力の流動性が低い社会を構成するということになる。その結果、目まぐるしく変わる世界に対応できる会社が、日本には少ないということになる。

 

一般に、法人などの機能集団が高い総合力を発揮するには、どの階層も、複数の個人(専門家)の考えを材料に、個人のレベルを超える高度な考えを構築することが重要である。その各層から、その議論のなかで、上の階層或いはもっと相応しい部署に異動するメンバーも決まることになる。勿論、ある場合は解雇ということもあり得る。日本社会は、そのような労働力の流動性に欠ける。

 

その結果だろうと、素人ながら思うのだが、日本の企業の株価時価総額トップ10社には、昔からの企業がならぶが、米国ではGAFAと呼ばれる企業など、全く顔ぶれが新しくなっている。(補足2)

 

その原因は、日本型の人事にあると思う。つまり、日本での人事では、議論や実績を通してではなく、最初から最後まで顔と名刺で行われる。その結果、管理層には時代遅れの著名人が選ばれ、その結果高齢者で占められる。その結果、組織全体は知恵無く迷走するが、下の者は操縦する管理層を馬鹿にするのみとなる。(補足3)

 

国民の貯金を集めて資金化を行い、世界の企業を買収しても、それら買収企業は日本に買収されたのちは、親企業ともども業績低迷の運命をたどる。東芝のウエスティングハウス、日本郵政のトールホールディングズはその例だが、なんと同じ経営者の西室泰三氏が行った。

 

西室氏は、安倍内閣総理大臣談話有識者懇談会座長になるなど、財界では「肩書コレクター」の異名をとった。個人の攻撃ではなく、日本の人事の特徴を示す為に西室氏の名前を引用させてもらった。一事が万事、この類である。

 

補足:

 

*)議論の無い日本(I)は、今年1月3日の記事「日本の生産性をダメにした5つの大問題について」です。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12564206453.html または、

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/01/blog-post_3.html

 

1)上久保さんの肩書は「京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ビッグデータ医科学部門特定教授」である。まるでお経の文章のようで、意味はわからない。教授には、ただの教授、特定教授、特任教授、客員教授などがある。これらの別は、名刺を大事にするこの国では大切な区別である。

 

2)日本では、トヨタ、ドコモ、ソフトバンク、三菱UFJ、ンッT、ホンダ、KDDI、MIZUHO、などが並ぶが、米国ではGOOGLE, AMAZON, TESLA, FACEBOOK, APPLEなどが並ぶ。GMではなくTESLAが大きな価値を持つことが、米国の成長を象徴している。

 

3)昨日のテレビ番組「そこまで言って委員会」で、元経産官僚の石川和男氏は、官僚が大臣などに答弁を教える場合、「ご案内の通り」「ご存知の通り」という前置きで、議員が知らない情報を伝えると言っていた。政治家に忖度する官僚の姿が良くわかる。また、司会者か誰かが「官僚たちの中で、この政治家はどう考えても、知性があまりないという話になりますか?」と言った時、その返答は「そうでない人を探すのが困難な位です」と明確に答えた。

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