米軍は20年間の戦闘を終えて、8月31日にアフガニスタンから撤兵した。その撤兵は無計画な形で、多くの同盟国の撤収に気を配らないばかりか、自国民の撤収をも無視した形でなされた。まるで命からがら逃げる満州の日本軍のようである。(補足1)
極めて不可解なのは、タリバンが8月31日までのカブールの治安を米軍に要請したのを断り、タリバンに任せたという点である。そして、米軍が警備したのは、カブールの空港のみであった。米軍のバグラム空軍基地放棄も不思議だが、それについては遠藤誉氏(補足2)の解説をご覧いただきたい。
「まるで敗戦直後の日本軍を奪い合う中共軍――米大使館存続望むタリバン」https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210830-00255697
繰り返す。タリバンですら、本来なら米軍がカブールの治安維持を期日までする筈だとおもっていたし、そのように提案したというのだ。それを断って、カブールを早々にタリバンに任せたのである。まるで、わざと混乱する様にアフガニスタンを残して、米軍が撤収するかのようである。
その所為で多くの日本人もカブールの空港にたどり着くことが出来なかった。米国人すら、数百人がカブールに取り残されたというのである。
8月31日に撤収するのなら、それまでの期間は首都カブールの治安を米軍が維持し、自国民や同盟国の全ての人員を撤収させ、その後で米軍が撤収してタリバンにその後を託すという具合に計画的に行うのが普通である。米軍は優位であったのだから、そうすべきことは素人でも判る筈である。
日本でも報じられている様に、アフガニスタンのガニ大統領は、暫定政権を放り出して外国に逃亡した。その無様な様子を単純に笑っていた人も、その背後にバイデンとタリバンの話し合いで決めた上記のことを知れば、ガニ大統領が逃げるのは当然だと思うだろう。
米国の主流マスコミもこの異常な撤退を様々な角度から報じているようだ。ワシントン・ポストは、上記のバイデンとタリバンのカブール統治に関する取り決めを報じ、ニューヨーク・タイムズは米軍がタリバンに残した山程の武器や軍用自動車などを図入りで紹介した。
(上のyoutube動画:https://www.youtube.com/watch?v=sh8pitGmUc4)
これまで戦っていた相手に大量の武器のプレゼントするとは!不思議を通り越して、何か悪夢を見ている筈だと自分を抓ってみるが、どうも真実のようだ。しかも、それ以前の一年半ほどの期間で、米軍を背後に持つアフガニスタン政府軍からタリバンに多くの武器を売り渡すという不可解な出来事があったことを考えると、そこまでバラして良いのかと、米国の方が心配になる。https://courrier.jp/news/archives/257495/?utm_source=article_link&utm_medium=photolink&utm_campaign=articleid_259199
バイデンはそれでも、アフガニスタンからの撤兵計画は並外れた成功だったと自画自賛したようだ。更に、国外避難を希望したアメリカ人の90%を避難させたと胸を張ったという。取り残された10%には目をつむるのである。(補足3)https://www.youtube.com/watch?v=m_dn6QNMCWo
インチキ選挙をしてまで、こんな人を大統領にした米国支配層の罪は大きい。「罪は大きい」というのは、意図せずにこの失態となったと仮定した場合の話である。もしその前提が間違いなら、この表現はあたらない。それを書いたのが9月1日の記事「自由主義国家群の団結を破壊するバイデン民主党政権」であった。繰り返す、米国が心配だ。
世界の混乱はアメリカの混乱から始まる。それらが計画されたものなら、その背後に居るものにはおよその見当がつく。中国は彼らの相棒のようだが、習近平はその邪魔者らしい。それを察知したのか、中国の現政権は、習近平思想を小学校で教え毛沢東時代に逆行を始めたようである。(補足4)
本当に恐ろしい時代がやってくる。日本国の政治家は、その危機に全く何も感じないうようで、未だにコロナ対策が最大唯一の課題と考えているようだ。日本のマスコミは相変わらず、本当の日本国の危機を報道せず国民の愚民化政策のために働いている。
かれら全てが、“壁通り”か“駄母寿”かは知らないが、世界支配を目指す者たちに上から伸びているワイヤーで操られていることを良しとしているのかもしれない。アフガニスタンに取り残された米国人や日本人と同じ運命に、我々も在るのかもしれない。
補足:
1)五木寛之さんは旧満州から引き上げた。その際の悲劇の半分は、真っ先に敗走する日本軍がもたらしたと言える。一流の作家故に、真実の人間の姿を教えてくれる。https://www.nishinippon.co.jp/item/o/433752/
2)遠藤誉氏は満州国新京生まれの人で、中国問題の専門家として知られる。自分の体験を基に書いた「チャーズ中国建国の残火」は有名。元々の専門は物理学である。山崎豊子の「大地の子」のチャーズに関する部分で著作権侵害の訴訟をしたことでも知られる。
3)このようなセリフを吐いても、バイデンは未だ大統領の席に安全に座っていることも不思議である。現在すでに米国は内戦の中にあると考えれば、不思議ではないが。
4)習近平は傾きかけた政権を守るために、毛沢東の文化大革命の新しいバージョンを始めるようだ。北戴河会議で汪洋という人物が浮かび上がったというニュースと、この第二次文化大革命、及びジョージ・ソロスの二度に亘る習近平批判が恐ろしく共鳴している。日本は遠くの雷鳴を伴う嵐を前にして、未だにコロナ踊りに興じている。
0 件のコメント:
コメントを投稿