田中宇氏は外交評論家で、有料ブログに無料ブログを混ぜてネット配信をしている。田中氏は今日無料記事として、オバマ氏の核先制攻撃不使用宣言についての考えを配信した。その内容は、全く以外だった。田中氏は、オバマ氏の政治的パーフォーマンスを正面から最大限に評価しているのである。http://tanakanews.com/160822nuke.htm
オバマ氏は、大統領就任直後に核廃絶の目標を発表し、ノーベル平和賞をもらった。しかし、その後は全く核廃絶の動きを見せなかったのだが、それについて田中氏は「しかし、その後のオバマは、米議会など米国内外の軍産複合体に阻まれ、核廃絶を進められなかった。」と書いている。
田中氏は、米国大統領の指導力が、現在の世界の政治的勢力図のままで、そして米国の産軍複合体を抑え込めば、核廃絶のための現実的な力になると信じておられるようだ。詳細に引用記事を挿入しての記事なので、正に「木を見て森を見ず」の典型だと思う。
極め付けは、以下の文章である。「オバマの主導で世界が核先制不使用を宣言すると、北朝鮮や中国との緊張が緩和され、米国が”米軍がいなくても日本は自衛できる”と考える流れになり、在日米軍が撤退傾向となり、対米従属を続けられなくなる。だから日本はオバマの計画に反対している。戦後日本の平和主義は対米従属のためのものであり、偽善だった。」
田中氏は、戦後の東アジアにおける外交的緊張は、すべて米国の産軍複合体の企みの結果であり、産軍複合体が活動をやめれば中国や北朝鮮と日本との緊張も消滅すると考えておられるようだ。また、田中氏は米国が核先制不使用を宣言することは、同盟国に対する核の傘が消滅することになることがわかっていないのか、それとも、元々核の傘など何の外交的意味がないと思っているのかどちらかだろう。
私は、中国が軍事力で隣国を脅すことが可能なのは、核兵器を持っているからであり、日本が米軍に期待するのは核の傘であると思っている。また、中国の覇権的姿勢は米国の産軍複合体に挑発された結果では説明できないと思っている。日本は、対米従属を好んでしているのではない。
更に、先日のオバマ氏の広島訪問に関し、「今から思うと、5月末のオバマの広島訪問は、今回の先制不使用などの計画の先駆となる象徴的な動きだった。オバマは、安倍首相とともに広島を訪問することで、安倍(や後ろで操っている日本外務省)に「口だけでなくちゃんとやれよ。俺はやるぜ」というメッセージを送ったともいえる。」と書いている。オバマ氏のこのパーフォーマンスも、まともな外交と考えておられるには全く驚きである。
オバマ氏の広島訪問をこのように評価するなんて、空いた口がふさがらない。オバマ氏の核廃絶や核兵器先制不使用宣言に関する活動について、何度か批判的記事を書いてきたので、以下にそれらのサイトの一部を引用する。
http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42929474.html
http://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42937637.html
核廃絶どころか、核不拡散すら実現できないことを、戦後の世界政治は証明してきたではないのか? スーパーマンの真似をする「エーカッコシー」を最大限評価するというのは、何か別の意図があるのだろうか。
追補:田中氏のブログを何年間か有料で読んでいたので、この様文章をブログに書きました。「そんな人知らない」という人には、不自然に見えるかもしれません。
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