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2020年6月28日日曜日

新型コロナ肺炎流行の季節因子とファクターXについて

記事の要約:

 

夏には、ウイルスの人間体外での寿命は短くなる。従って、ドアノブなどからの接触感染は少なくなるだろう。しかし、人の活動は高まり、口から口への飛沫感染は増加する。通常の会話では、大粒な唾は飛ばないが、コロイド粒子レベルの唾の飛散はありえる。特に熱い議論や声援は、多くの感染源を周囲にばら撒く。従って、夏にもマスクが大事である。冬には、ドアノブなどにウイルスは長く残るので、手洗いがより大事である。

 

尚、以下は元物理化学研究者によるもので、一般的によく知られた事実は考慮していますが、それ以外の医学的データを利用した考察ではありません。

 

本文:

 

5月19日、新型コロナの季節性について議論した。その中で、ウイルスの基本構造として、①脂質二重膜(bilayer lipid membrane) 製の球状構造の中に遺伝子(RNA or DNA)が含まれていること、及び、その②脂質二重幕の構造維持には、水との共存による疎水性相互作用(hydrophobic interaction;補足1) が働いていること、の二つを基に考察した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12598030300.html?frm=theme

 

 

つまり、ウイルスの構造破壊が、脂質二重膜の周りから水分が蒸発することで起こると考えられる。水分の蒸発は気温が低い冬季に遅く、気温が高い夏季に早い。更に、湿度が低い場合の方が早いだろう。しかし、温度の効果の方がかなり大きいだろう。尚、アルコールとの接触でも、脂質二重膜構造は破壊される。

一部マスコミで、冬季は湿度が低いので、唾液の蒸発が早いと報道されたことがあるが、それは間違いだと思う。水の蒸発速度は、液体の温度、気温、湿度、風速に依存する。液体温度や風速を一定にすれば、上図のようになり、湿度だけを殊更重視するのは間違いで、温度の効果の方が大きい。

 

尚、上図は1気圧、風速0.1 m/sで水面の幅が10cmの場合の蒸発速度の温度及び湿度への依存性を、図に記載のサイトから引用させてもらった。明らかに、温度の効果の方が大きいことが分かるだろう。この他、水分蒸発速度、水球の半径に依存し、粒が小さいほど蒸発が早い。

 

気温が低い冬季に、ウイルスを含んだ唾液が例えばドアノブなどに付着した場合、水の蒸発が遅くウイルスの寿命が延びるので、そこからの接触感染が起こりやすい。従って、冬には特にしっかりと手洗いをするべきである。

 

一方、夏季には、人は屋外て活発化するので、話をする機会も多い。その際、唾が微粒子となって相手側に飛散する。咳やクシャミで放出される唾液は、大きな粒が多いので、それを警戒することは当然だと広く受け入れられている。しかし、話をするだけでも、コロイド状粒子の唾液が放散されるので、それにより感染が広がり得る。 特に、熱い議論や口論、スポーツなどにおける声援、歌唱などで、そのコロイド状唾液の放散が激しくなるだろう。

 

従って、感染力の強いウイルスの場合、夏季でも大きな高い声を出し合う場面では、エアロゾル(空気中コロイド状粒子)感染で伝染が広がる可能性がある。この事に注目して、カラオケや人が集合して近くで熱い議論を伴う業種は、補償と引き換えに営業を禁止すべきであると6月24日に指摘した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606624971.html

 

コロイド粒子の唾液もマスクをしっかりと付けていれば防げるだろう。しかし、透明プラスチックで口の前面を覆うだけでは、一定の効果は勿論期待されるが、四方への飛散を防ぐ効果はそれほど大きくは減少しない。

 

空気の乾燥は、恐らく喉などの粘膜の保護という点で不利なだけで、常に喉を潤して置けば、この種の病気の蔓延の理由にはならないだろう。

 

ファクターXについて:

 

新型コロナ肺炎の蔓延防止の点で、日本の政治は失敗の連続だったが、それでも死亡者数はG7で最低であることに世界は注目している。ノーベル医学賞の山中伸弥教授は、この未知の原因をファクターXと名付けた。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/35447

 

日本の古くからのウイルスによる交差免疫の効果だとか、モーコ族はどうもこの新型コロナに強い遺伝子を持っているなど、想像でいろんなことを言っている人もいる。しかし、それらには想像以上の根拠はない。

 

科学的に考えた場合、それら以外の因子として、日本人は、口角泡を飛ばす議論や、大声での喧嘩などはあまりしない。この対人文化に、常に衛生に心がける日本の日常文化を加えて、ファクターXが出来上がると思う。

(午後9:45編集あり)

 

補足:

 

1)疎水性相互作用(hydrophobic interaction): 水中で水に溶けにくい分子は、互いに集合して安定化しようとする。この作用を疎水性相互作用という。

 

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