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2020年6月18日木曜日

新型コロナ肺炎:ファクターXの正体(日本で被害が少ないのは何故か)

新型コロナ肺炎での日本政府の無策は、横浜に寄港したダイヤモンド・プリンセス号で多数感染者を出したことも有り、最初世界から非難された。その後一転して、ヨーロッパから米国での悲惨な情況と日本の少ない被害から、日本の不思議として注目され、時として称賛された。https://president.jp/articles/-/35219?page=4

 

山中伸弥氏は日本の少ない被害には、何か特別な原因がある筈だと考えて、それをファクターXと名付けた。西欧諸国でも、その原因を探る人は多いが、決定的なものは見つかっていない。今回は、そのファクターXを探ることにした。

 

1)COVID-19の被害の地域差について

 

韓国や台湾は、被害が非常にすくなかったのだが、それは対策が非常に優れているということにされて、未知のファクターは考えられていない。中国も発生元でありながら死者数が少ないのだが、それは”隠蔽体質による誤魔化し”がどの程度か分からないので、比較の対象にはなりにくい。(補足1)

 

日本のファクターXの議論に先立ち、COVID-19の被害の地域差の代表的な議論を紹介する。欧米に比較して東アジア地区で被害が少ない理由として考えられた主な議論としては、①BCG接種の習慣の有無、②欧米では強毒性の変異株のウイルスが暴れてた、の二つがある。

 

BCG説は、実施しているノルウェーと現在非実施のフィンランドを比較しても有意の差がないことなど、説得力に乏しいと過去のブログ記事で結論付けた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12590267155.html

 

もう一つの強毒型のウイルスによるとの説だが、欧米各国で東アジア各国よりも遥かに大量の死者がでたのは、これが原因だろうと記事に書いた。しかし、日本のケースを考えると、今となってはこれも間違いかもしれない。

 

上に引用の記事では、韓国とスイスの比較で議論した。両国とも、PCR検査を積極的に行い、国際的にも標準的な対応をしたからである。現在(6月16日のhttps://www.worldometers.info/coronavirus/)死亡か治癒かの決着がついた人のうち、死亡者の割合が、韓国で2.5%、スイスで6.3%であった。BCGを実施していて、被害の少ない代表として北欧のノルウェーを選ぶと、その数値は2.9%である。また、人口100万当りの死亡者の割合で見ると、韓国5,スイス226、ノルウェー45である。

 

日本は検査数などが少なく、比較の対象に選びにくいが、夫々の数値は5.6%と7人である。検査数が増えていれば、恐らく死亡率は半分位に減少していただろう。つまり、実質的に韓国と殆ど変わらない被害であった。

 

これらの数値から、ヨーロッパやアメリカでは強毒性のウイルスが広がったという説は一定の説得性がある。ただ、日本の場合、死者のピークは欧米よりも遅い時期に発生しており、欧米から持ち込まれたウイルスによる被害が相当ある筈である。そう考えると、再びわからなくなる。

 

つまり、韓国や台湾など被害を低く抑えたのは、対策が素晴らしかったのではなく、日本と同じファクターXに原因がある可能性が大である。

 

2)大規模抗体検査の結果 

 

以上の他、日本では:③土着のコロナウイルスに抗体による「交差免疫」で被害が少なく抑えられたという説もある。しかし、この説は単にファクターXが分からないから、苦しみ紛れに出した印象が強い。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ee16e05fbb6dfc205148ec9fb1cee9607d952666

 

この16日、大規模な抗体検査の結果が公表された。その結果、抗体保有率は東京0.1%; 大阪、0.17%; 宮城、0.03%であった。この結果は欧米の値より一桁以上小さい。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO60435670W0A610C2EA2000/

 

ニューヨーク州での抗体保有率は、4月下旬の時点で、14.9%であり、ニューヨーク市内に限れば、24.7%であった。その比率は、米国在住であれば、人種間でそれほど大きな差がないことも同時にわかった。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58566380Y0A420C2000000/

 

3)日本で感染率が低い理由:

 

以上から、日本での低い致死率は、極めて低い感染率によるということが判った。つまり、ファクターXは、あまり出歩かないとか、帰宅したときに手を洗うこと、マスクをすることを嫌わないなど、社会的&文化的な面からウイルスが伝染しにくい生活習慣を持っているということである。

 

念のため、世帯あたりの人数が関係するかもしれないと思って調べた。つまり、世帯当りの人数が多ければ、家庭がウイルスの培養空間になる可能性がある。しかし、その国際比較をみても、日本はごく普通の世帯構成である。

https://blog.goo.ne.jp/kasumigaseki_soken/e/64bfe94c3ec496588e48d5ce2f73aff6

 

結局、日本では衛生に気を配る習慣が身についていることの外、平均的ソーシャルディスタンスも欧米より大きいということになるだろう。欧米では、ハグやキスは挨拶的な範疇に入ると聞くが、日本では握手すらあまりやらない。

 

そのほか、住宅は今でも風通しの良い家がおおく、冷暖房をそれほど多く使用しない。機密性の優れた建造物中で、冷暖房を24時間一年中用いれば、どうしても換気回数が少なくなる。日本の一般的住宅は、換気回数が欧米より多いと思う。(補足2)

 

空気中に浮遊するコロイド粒子的なものにウイルスが付着しており、それが数時間程度破壊されないで浮遊している。この時、頻繁に換気しておれば、感染リスクは大幅に減る。吸い込むウイルスが少なければ、自然免疫の段階で処理できるから、感染発病しにくいだろう。発病とは、最初の免疫の崩壊が個体内で起こっているということだろう。

 

重症化は、多くの場合、免疫暴走によって起こる。この病気は、感染しても無症状の人が多い。しかし、一旦ウイルスに自然免疫のバリアを超えられると、かなりの人が自分の免疫異常で死亡するケースが多いのだろう。それを強く示唆する報告がワシントン・ポストの記事に現れた。

 

4)血液型などとの関連

 

最新のワシントンポストの「The ultimate covid-19 mystery: Why does it spare some and kill others?」と題する記事も、この問題「COVID-19で重症化する未知の因子」について書いている。そこには、新しい知識と今までの私の感覚と異なる表現があった。表現としては、糖尿病などの疾患を持っている人の重症化について、「慢性疾患とcovid-19の重症度との関連は、因果関係よりも相関関係だ」と書かれているのである。

 

新しい知識としては、重症者に22のタンパク質が血液中に現れること、血液型がAの人が50%程度重症化しやすいこと、O型の人は9−18%程度陽性率が低いことなどの調査結果が、審査前だが論文となって発表されるようである。https://www.washingtonpost.com/health/the-ultimate-covid-19-mystery-why-does-it-spare-some-and-kill-others/2020/06/16/f6acc1a0-ab35-11ea-9063-e69bd6520940_story.html?utm_campaign=wp_post_most&utm_medium=email&utm_source=newsletter&wpisrc=nl_most

 

この記事によれば、A型の人が多い日本人はCovid-19に罹りやすく重症化しやすい筈で、上記の社会的文化的因子の考え方が益々重要だとわかる。つまり、社会的距離が日本では西欧よりも大きいということである。日本人のみなさん、老後を出歩かず、読書と瞑想をして健康に過ごしましょう。

 

補足:

 

1)携帯電話の契約数の大幅な減少から、死者数は数十倍以上だろうという意見もあった。https://www.epochtimes.jp/p/2020/03/53457.html

 

2)今月の14日、15日、東京都で50人程度と多くの感染者が出た。この時も、ホストクラブのような閉鎖空間でのクラスター観戦が半分ほどあった。換気が大事である。

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