”真実”を重視するという圧力下にある西欧に比べて、そのような考え方が稀薄でむしろ”利益”を重視する日本を含めた東アジア(1)が、グローバル社会の中で益々大きな力をもつことは、暗い世界を予感させる。
習近平中国国家主席が韓国を訪問する。その中心的な確認事項の一つは、反日だろう(2)。韓国の中国との関係緊密化は不純な動機に基づいていると思う。それは、「日本による南京大虐殺と軍の強制連行による従軍慰安婦」という虚構を確認する為の儀式である。恐らく、韓国朴政権が崩壊する(辞任する)the point of no returnになるかもしれない。
ここ20年程の間に世界経済がグローバル化するに従って、益々盛んになった中国や韓国による“日本の歴史認識”に対する攻撃であるが、それは、「日本が20世紀前半に朝鮮半島を含む大陸を侵略し、いろんな悪事をなした」という共同の歴史観に、日本も参加すべきであると言う主張である。日本は大陸を侵略したと言うことは可能でも、”いろんな悪事”については中国韓国により誇張或いは捏造されたものである。このようなことが起こりうる原因として強調したいのは、出だしに書いた様に東アジアには“歴史”において、真実を記述するという考え方が稀薄であることである(3)。そして、日本に悪のラベルを張ることに成功すれば、自ずと日本の本来受け取る利益を、中国と韓国で分け合えるからである。
日本が為した”悪事”に関しての話に移る。最近発表された河野談話の作成経緯であるが、それが日韓が友好状態を保つ為に作られた日韓共同の捏造であったことを示している。河野談話が謝罪したのは、「戦争時に朝鮮半島で、日本軍が軍人相手の慰安婦施設の運営と一部慰安婦を強制連行で集めたということ」に対するものである。真実として、1)慰安婦と呼ばれる人たちは実際には売春婦であり、高額の報酬を受けていたこと、そして、2)日本軍による強制連行は無かったこと、が明らかになっている。この種の施設は、当時はどこにでもあり、1990年代まで韓国が米国軍の為に運営していたという驚きの事実も最近話題になっている。未だ読んでいないが、新聞広告によると今日発売の週刊新潮と週刊文春に、韓国政府は韓国内米軍基地で慰安婦(Comfort woman, 官製売春婦)施設を運営し、外貨稼ぎをしていたという記事が掲載されている筈である。当時の慰安婦100名以上により、韓国政府が告発されたのである。その訴えは恐らく裁判所により却下されるだろう。何故なら、既に数々のケースで韓国は法治国家とは言えない状態だからである(4)。南京大虐殺については、数々の書物でその虚構が指摘されている(5)。中国に詳しい石平氏はテレビで、「中国は、日本軍と毛沢東(大躍進運動や文化大革命)とを取り違えているのではないか?」と冗談を交えて、中国の捏造として説明している。
今回、中国主席の韓国訪問において、再度「日本の歴史認識の攻撃する」という共同の姿勢を確認することになるだろう。中国と韓国とで、「反日は中韓の鎹」ということを見せつけるように確認するのである。しかし、日本の国際的評判を落すという以外に何か利益があるのだろうか?
韓国は、今後米国は東アジアから後退し、東アジアは中国がリーダーとなる時代を想定しているのではないだろうか。そして、北朝鮮が崩壊して統一朝鮮をつくる時、中国の協力が不可欠であると考えているのかもしれない。中国は、東アジアのリーダーになるとき、日本をリーダーの一角を占めないように閉じ込める狙いがあるのでは。日本は東南アジアで中国よりも信頼されているので、中国にとっては鬱陶しい存在なのだろう。
韓国は、米国の地位が揺らげば、次の選択として中国と関係を深めるしか、選択肢がないのだろうが、米国の世界的地位は当分揺らがないとすれば、この不純な外交はマイナスになると思う。
注釈:
1)聖書は嘘(偽証)を強く禁じているが、論語は嘘を禁じていない。(21:30補足)
2)今夜のNHKニュースでは、北の核兵器開発に関する話があったと報道されていた。日本批判が控えられるとしたら、北朝鮮と日本の間の交渉進捗を加速したくないからだろう。(21:30補足)
3)中国最初の歴史書とされる史記には “出来事の記録”という性格はなく、晋の始皇帝の正統性を示す物語に過ぎないという。つまり、世界の歴史書の最初でありhistoryの語源ともなった“ヒストリア”とは性格が全く異なるのである。
4)対馬から盗まれ韓国に運ばれた仏像を返還する様に韓国の市民団体が訴えたが、ソウル行政裁判所はこの訴えを却下した。韓国に元々あった文化財とはいえ、盗んで取り返そうという姿勢に、法治国家のラベルはとても貼れない。(もっとも、これは程度の差はあっても東アジア全体の傾向で、日本も例外ではない)
5)例えば、東中野修道、小林進、福永慎次郎著“南京事件「証拠写真」を検証する”草思社、2005年
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