安倍総理の「世界は歩調を合わせて北朝鮮に圧力を掛けるべき」との国連演説は、北朝鮮の核の標的に名乗り出るようなものである。しかし、それでも玄人筋の評価は高い。例えば、クレムリンメソッドという本をかいた北野幸伯氏は今朝のブログで、安倍演説を高く評価している。
https://jp.mg5.mail.yahoo.co.jp/neo/launch?.rand=66e9jedpmse1j#tb=qljv0rs6
その圧力が重要だとする主張の根拠として、1994年10月の米朝合意で、核兵器開発をやめるという約束で軽水炉支援をしたが、その約束を破ったこと;2002年に北朝鮮がウラン濃縮をしていることが明らかになり、6カ国協議をつくって対応を話し合い、2005年に6者は一度合意に達し、声明を出すに至った。
北朝鮮は、全ての核兵器、既存の核計画を放棄することと、核拡散防止条約(NPT)と、IAEAの保障措置に復帰することを約束した。その一方、同年「我々は既に、核保持である」を宣言した。さらに2006年の10月第1回の核実験、2009年に2度目の核実験行い、その年北朝鮮は6カ国協議からの脱退を表明した。そのような経緯から、安倍総理は「対話とは、北朝鮮にとって、われわれを欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」と結論した。
その演説の中で、安倍総理が北朝鮮の核兵器開発はNPTへの挑戦であり、それは世界平和体制への挑戦であるというロジックで、世界を味方につけようとした点を高く評価している。
しかし、そのロジックは双刃の剣である。つまり、日本は自らNPTからの脱退のチャンスを逃すことになるからである。それは、1971年に中国を訪問したキッシンジャーと周恩来の間で約束したと言われる、日本に決して核武装はさせないという米国の一貫した戦略である。
その戦略を逆手にとって、北朝鮮から核兵器開発を早期にやめさせる手段があった。それは日本の核武装の検討である。周辺国であり国交のない北朝鮮が核武装すれば、日本に取って危機的状況であり、NPTにあるように脱退の権利を得る。
日本に核武装させることには、中国もロシアも大反対するだろう。そして、米中露は歩調を合わせて、北朝鮮の核開発を潰すだろう。その最も有効な手段と、日本の核保有の潜在的権利をわざわざ放棄して、米国の尖兵となって北朝鮮と対決するのは非常に愚かな外交である。
また、佐藤勝氏が言及している核の共有は、ある意味で核の拡散である。NPTに高い価値をおいた演説は、その案も放棄するということなのか? もしそうだとすれば、全く最悪の演説と言わざるを得ない。
北野幸伯氏はそれが全くわかっていない。
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