今朝、及川幸久さんの動画を見た。米国の次期大統領選挙で、バーニー・サンダースが民主党候補になれば、トランプの再選が危ういかもしれないという話であった。サンダースの後ろで応援しているのが、オカシオ・コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez)という30才の女性下院議員である。伴に、社会主義者である。
バーニー・サンダースの公約は大学授業料の無償化、医療費の無償化、そして最低賃金15ドル(時給だろう)である。非常に良い政策であり、是非米国はサンダースを新大統領に選んで、冒険をしてもらいたいと思う。及川さんは何時ものように、手短に且つ要領よく素晴らいい解説をしてくれている。それらを、検索したデータや私の考えと伴に紹介したい。
1)高い大学授業料と医療費を無償化する?
米国の大学授業料は非常に高い。年間400万円以上(平均で年間36900ドル)だと言う。及川氏は、自分の感覚ではもっと高いと思うと言っていた。多分、アイビーリーグなど名門大では、もっと高いのだろう。その授業料を、日本のように(相当の年収があっても)親は支払わない。それが米国の文化だという。
それでも、米国の大学進学率は高い。短大を含めた世界ランキングでは、米国は世界第二位であり、94%にもなる。http://top10.sakura.ne.jp/IBRD-SE-TER-ENRR.html 実力社会の米国では、学力をつけることは死活問題であるので、当然の数値だろう。それを可能にしているのが、政府保障の学生ローンである。
政府保障なので、学生は簡単にローンで金を借りることができる。従って、大学も十分な授業料を設定できるのである。米国の美しい大学キャンパス、その中で教授たちは良い給料をもらい、十分な準備をして授業に臨み、学生に最高の知識と考え方などを教えるのである。ローンさえ無ければ、素晴らしい大学生活である。
大学卒業後には、学生に多額の借金が残る。丁度、日本の住宅ローン位の感じだろう。通常40才代まで残るローンを、サンダースが大統領になれば、直ちに国が面倒を見るのだそうだ。40代までの若い人たちの票を地引網で根こそぎ獲得する可能性がある。
それに米国の高い医療費には定評がある。現在、米国ではインフルエンザが猛威を奮っているが、下層階級にとっては簡単には医者にかかれないという事情が絡んでいるようだ。例えば、急性虫垂炎で入院治療すると、750万円かかるという記事もある。医療費で破産する人も多いらしい。https://halmek.co.jp/travel/c/preparation/254
オバマ元大統領は国民皆保険を目指した。しかし、保健でも何でも強制されることを嫌う個人主義の米国文化には適合せず、トランプが大統領になって一部廃止された。如何なる保健でも、平均すれば保険制度の維持や事務手続きなど、余分な経費がかかるので、一人あたりの受益額よりも負担額の方が大きい。米国中間層は、それを嫌がるのだろう。
これら高額の大学授業料や医療費は、保健やローンなどを設定して対応するよりも、全廃するのが全体として安上がりである。社会主義が将来の人類の政治システムとして、大きな地位を占める理由の一つもそこにあるだろう。社会主義政権は大きな政府となるというのが定説だが、小さくなる場合もあるのだ。
2)新しい社会主義とネット時代の直接民主主義:
北欧型社会主義を目指すというのが、サンダース上院議員の方針だという。社会主義は独裁になり、独裁は国家を崩壊させるという過去の歴史による呪縛をどう乗り越えるのか? インターネットの時代の社会主義という考え方、つまり、オープンに政策を批判し提言する方式が採用されれば、小さな国家組織の社会主義国ができる可能性がある。
以下はサンダースの意見とは無関係に新しい社会主義のあり方を夢想してみる。この社会主義は資本主義と対立しない。以下は、素人の戯言として読み飛ばしてもらっても良い。何れ、独立した記事にしたいが、何時になるかわからないので、ここに書く。それはネット時代の直接民主主義である。
国民の意見をビッグデータとして積み上げ、その評価・分析をオープンなシステムで行う。そこでは過去において知恵ある意見を出したものの意見が、大きな重みをつけられて、分析システムの中央部分に投入されるようにする。それら全ての意見のベクトル的合成が得られた時点で、それを元に国民の代表者が政策立案を行う。そのサイクルを二三度繰り返して行政を遂行するのである。
何か新しく起業する場合でも、起業システムに提言を出す。それをオープンな評価の場(サイバー空間)に出して、議論の対象とする。この議論において、新規起業の方向と予算が決定され、その立案に功績のあったものに、ICO (initial coin offering) 或いはIPOにおいて、その会社の持ち分が与えられる。この方が、企業経営においても独裁的な経営方針で破産する危険性を防止できるだろう。これらの情報処理には、AIが大きな役割をするだろう。
この時、外国からのサイバー攻撃が大きな問題になるだろう。従って、国内だけに接続された“政治的国内ネット”を作り上げるのが良いかもしれない。一家に一台、従来のインターネットとは別に国内独立ネットに接続するマシンを持つのである。例えば、日本なら、二つの光ケーブル網を平行に走らせて、一つを国内ネット専用に利用するのである。
3)MMTについて:
上記、オカシオ・コルテスが主張するMMTは、バーニー・サンダースの経済アドバイザーのニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などが1990年代から主張しているものである。つまり、社会主義政策を行う時、お金は必要なだけ政府が発行すればよいではないかという考えである。
クラシックな経済学者や実業界からは批判が出ているが、MMTにはそれなりの合理性があると思う。MMTの考え方は、一定以上のインフレにならない限り、財政を新たに発行した政府通貨により行っても良いという説である。中央銀行が通貨を仕切っている場合、国債を直接中央銀行に買い取らせて、その金を財政支出に使えば良いというのである。
この件、経済評論家の三橋貴明氏や京大工学部教授で内閣参与だった藤井聡氏が、政府の財政拡大策を支持するために提唱していた。上記ケルトン教授の講演会も開催していたと記憶している。しかし、私は素人ながら、MMT理論は日本には適用できないとブログに書いた。何故なら、日本は食料もエネルギーも外国に頼っているので、円売りが生じた時、耐えられない可能性が高いからである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/08/mmt.html
MMTの考え方は、政府が放漫財政に陥らなければ、採用しうると思う。再び以下は、素人の戯言として読み飛ばしてもらって良いのだが、私の夢想した考えを書く。財政の健全性や政府の予算案に対して、オープンなネット評価システムを用いるのである。
これは行政に直接民主主義を取り入れる一方法である。ビットコインのマイニングのように、有効な評価を提出したものに対して、税金控除というメリットを与えるのが良いだろう。
一般に、MMTの採用には、自国通貨たての国債が発行できる国、一定以下のインフレであることなどの条件があるというが、それだけではないと私は思う。国家としての信用がある国、自国だけで最低限の経済生活が維持できる国でなくてはならないだろう。その候補の第一が米国である。オーストラリアやカナダなどの英連邦諸国も可能だろう。
通貨には信用が必要である。日本のような大勢の知恵の集積の結果として、国家の方向が決められない国、組織の上下で議論や情報の円滑な伝達のない国では、放漫財政になって通貨価値の急落が起こる可能性がある。その時、日常生活に必須の食料やエネルギーが外国から入手できなくなるような国では、MMTは無理である。
(以上です。議論や玄人によるお叱りの言葉を期待します。)
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