1)イントロと問題提起
先程の朝日放送系(名古屋テレビ)で放送されていた「正義の味方」(2月1日午前9:30-11:00)で、日本のスパイに対する脆弱な体制について議論していた。その最後の部分で、山田敏弘という評論家が日本にもCIA的諜報機関を作るべきだと主張していた。同番組に出席の評論家、宮崎哲弥、藤井聡、高橋洋一らもその考えに賛同していた。
私は、それより先に日本国にはすべきことが在ると思う。それは、国民の中に「まともな国家を持つ意思」を育てることである。その運動が、学校や町内会レベルまで波及するように、国会が火付け役をすべきである。野党は、桜を見る会などのスキャンダルを追いかける姿勢から抜け出て、与党をその議論に巻き込んでもらいたい。無理な注文かもしれないが。。。
今の安倍政権が強力な諜報機関を持てば、その情報を、政敵を排除するために悪用するだろう。従って、そのような両刃の剣的システムを持つ前に、国民の「国家意識の向上」を出来るだけ早く実現し、その後まともな政治体制を手に入れるという順番で、改革すべきだと思う。そうしなければ、日本の中国化が起こるだろう。つまり、マッカーサーが言ったように「12歳の民主主義しか持たない国」には、諜報機関は内向きに使われる可能性が高くなるのだ。(補足1)
米国のような、大人の民主主義政治を持つ国でも、諜報機関であるCIAは、選挙で選ばれた大統領の方に刃を向けた。その所為もあって、トランプ大統領はCIA元高官の機密情報へのアクセス権を剥奪することにしたという。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3433227020082018EAF000/
米国政府高官は、退任後も後任への助言などのために、機密情報へのアクセス権を持つことが慣例になっていたという。元CIA長官のブレナン氏は、機密情報へのアクセス権の剥奪は「言語道断の権力の乱用だ」と厳しく批判した。その批判は、民主的に選ばれた行政のトップに対する根拠を欠いた反抗である。
「言論の権利に対する侵害だ」(http://www.news24.jp/articles/2018/08/16/10401554.html)というが、言論の自由が基本的人権の一つだとしても、公益に逆らっては要求できない。元高官と言えども1国民は、正統に選ばれた国家のトップの決定が不満なら、司法に訴えるか従うかの選択しか許されない。政治的プロパガンダはすべきでない。
それよりも、BBCが報じたトランプ大統領の反論の方が、説得力がある:
「これまで、情報機関や法執行機関の長を務めた人物については、特別な見識を有する問題について後任からの相談に応じられるよう、また職責への礼儀としても、機密情報へのアクセス権限を保持することが許されてきた。どちらの理由も、ブレナン氏が機密情報のアクセス権限を保持することを正当化しない」
https://www.bbc.com/japanese/45204454
2)基本からの考察
現在の国際政治は、世界政府が無い以上、本質的には野生の原理が支配している。つまり、国際条約は法の権威を持たない。その中で、国家が主権を守るために、諜報活動が行われている。英国のMI6、イスラエルのモサド、ソ連時代のKGB、米国のCIAなどが特に有名である。その活動は、先日のソレイマニ将軍暗殺など、時として国際法を無視して行われている。(補足2)
これらの海外向けの諜報機関と協調する諜報活動が国内でも法を無視して行われている筈である。英国のMI5はよく知られているが、各国も公安警察などの名で呼ばれている組織が、それを担当しているだろう。それは国民の権利の侵害を最小限に抑えて行われなければ、公益性の主張ができないだろう。
日本のように諜報の意思に乏しい国は、つまり、一人前の主権国家となっていない国は、諜報機関を作れば必ず国内の政敵追放に使われるだろう。(補足3)その力を握った者達が、ある外国の支配下にあれば、どうなるか?それを考えれば恐ろしい。つまり、日本では言論の自由が無くなり、中国のような国家が出来上がるだろう。(補足4)
日本に欠けているのは、繰り返しになるが、国民における国家を担う必要性の自覚と実行する覚悟である。それを得れば、本来野生の原理の支配する“国際世界という海”に浮かんだ日本国という船が、海賊たちに襲われて沈没しないように、一定の手段と装備が必要だと国民の殆どが同意する筈。
その為の情報を集めるのが諜報機関であり、力の行使を担当するのが国軍である。それを持つ宣言として、直ぐに憲法を改正することになるだろう。それらのプロセスは、自然な流れでなくてはならない。いきなり諜報機関が必要だとか、憲法改正が必要だとか言うのは、子供がピストルが必要だと言うような類の議論である。
(編集 14:10;14:50;15:25)
補足:
1)国民に国家を担う意識が発生すれば、憲法改正は自然に実現するだろう。諜報機関を作れば良いというのが、安易な考えであることを教えてくれる例があったので追加する。韓国のパク・チョンヒ大統領は、国家の主権を確立するために核武装を考えた。それを良く思わない外国勢力が、KCIA (韓国の諜報機関)を動かして、朴正煕を暗殺させた。
2)国際法が完全に有効なら、そもそも戦争などは起こり得ない。勿論、国際間のトラブルは起こるだろうが、それらは国際的な警察機関と国際的な司法機関が裁く筈である。そのような世界政府的な体制には、国際連合は脱皮できないだろう。
3)現在米国上院で行われているトランプ大統領を対象にした裁判は、まさに、この権利の乱用に関するものである。そのような手続きを完備している米国の民主主義は、流石だと思う。
4)国家の対面を優先する中国は、武漢など湖北省の住民の安全よりも、病気の流行を抑えることに国家権力行使の目標を置いている。その結果、武漢は新型肺炎ウイルスの「閉鎖された培養器」のような状態になっている。それを大きな業績のように言うWHOのトップの言動は、中国の諜報機関の活動成果の一つだろう。因みに、戦前の日本でも国内諜報機関(英国のMI5に相当か?)が、一般国民の戦争に反対する声を弾圧する機関となった。特高警察である。(補足1の朴正煕の例も参照)
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