注目の投稿

人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年9月15日火曜日

菅新総裁は西欧的価値観が現代国際社会の基礎であることを肝に命じるべき

前回の記事で、橋下徹氏と宮家邦彦氏の間での、対中国問題についての議論を紹介した。橋下徹氏が、習近平政権による国家安全法の香港への持ち込みやウイグルでの政策を支持する国が、反対する国より多いことを、国際世論の変化として考慮すべきではないかという考えを披露した。

 

この考えは、「中国の内政問題として、あまり干渉すべきではない」という習近平政権を擁護することになる。商談を進めるには、その方が上手く行くかもしれない。しかし、それは中国を危険な国と考え始めた他の西欧先進国の中で、不利な立場に追い込まれるだろう。

 

つまり、西欧先進国が作り上げた国際関係には、①「自由、人権、法の支配」というルールと、②主権国家体制の尊重というルールとを含む政治文化が根底にある。それは現在まで、平和で円滑な国際社会の連携を進める上で、重要な働きをしてきた。しかし、②を最優先し、①を完全に内政問題の範疇に押し込めるのは、暴論である。

 

あくまでも西欧政治経済文化の底の部分の基礎は①であり、その上に国家という家を建てる場合の玄関等の仕様が②である。この全く常識的な話を捻じ曲げる橋下徹という人は、変人ではないのだから、中国に取り込まれた人と考えざるを得ない。(補足1)

 

トランプ政権は、ポンペイオ国務長官のニクソン記念館での演説や最近の対中国共産党政権(中共政権)に対する姿勢を見ると、その政権の遺伝子として、世界制覇の達成が存在することを確信したと言える。

 

2)フランケンシュタインを育てた米国

 

1972年、米国は中国との互恵関係を考えて国交回復に向けて交渉をスタートしたことになっている。しかし、本音としては、共産圏の間に楔を打ち込むという企みもあった。この本音の部分ではソ連の崩壊(1991年)があり、目論見どおりの成果を得た。その時、経済的に大きくなり始めた中国の遺伝子を真剣に考えるべきだった。

 

天安門事件(1989年6月4日)で、流石のニクソンやキッシンジャーも中国の本質的な姿を見たはずである。1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連崩壊で、米中関係についても建前と本音の壁を破って、再考することが可能になった。間髪を入れず、行うべきだった。

 

しかし、米中の互恵関係が、ロックフェラーや他の巨大資本の本音の座をしっかりと専有して仕舞い、議論に持ち込むことが出来なかったのだろう。ポンペイオ国務長官のニクソン記念館での演説では、遅すぎる。

 

何故なら、ニクソン大統領は、気付いていたからである。晩年、「我々はフランケンシュタイン(のような国)を育ててしまったかもしれない」と、フォックスニュースの記者に語ったというのである。

https://www.sankei.com/premium/news/151102/prm1511020005-n1.html

 

しかし、その後、米政権の中で、或いは影で、隠然たる影響力を発揮したキッシンジャーやウォール街の資本家などが、上に書いたように、その後20年以上に亘って中国を巨大な国に育てた。いよいよ、育ての親を食う時がきたのだ。

 

現在、米国を中心とした自由主義経済は、殆ど世界に広がったサプライチェーンを為し、その中で中国の占める位置は非常に大きい。それでも、トランプとその側近、更に議会の多くの議員たちは、中国を特に先端産業部分で、サプライチェーンから外す動きを始めている。

 

それは、可能かどうかも分からない位の難事業である。おそらくバイデンが大統領になれば、米国は中国に食われるために、中国を大きく育てる路線に戻るだろう。トランプ位の変人でなければ出来ない難事業である。

 

トランプ政権の視点で言えば、中国を“デカップル”するのは、大きく発達した癌の切除手術を、死を覚悟して行うようなものだろう。もし、民主主義を取り入れた先進諸国の協力が無ければ、(或いはあったとしても?)米国は分裂してしまうだろう。

 

天安門事件も忘れ去られ、実利主義にひた走っているとき、米国の多くが、本当にwin-winの関係を信じていただろう。クリントン、ブッシュ、オバマと続いた政権で、斜めから中国をみるとフランケンシュタインに見えることに気付いたのは、第二期のオバマだろう。

 

そしてオバマは、戦々恐々として南シナ海で航行の自由作戦を行った。国際法などゴミ箱に捨てることが出来る国だと気づいても、もう遅いかもしれない。航行の自由作戦がせいいっぱいの示威行為だったのだろう。所詮、言葉だけの秀才なのだろう。(副大統領のバイデンはとっくに、息子ともども中国に食われてしまっている:補足2)

 

トランプがそれに気付いたのは、強烈なアメリカ第一主義の副産物としてだろう。鉄鋼などの過剰生産力、不動産バブルのなど、経済が陰りだした中国は、いよいよ世界の侵略に生きる道を探す時期に来た。一帯一路作戦とアジアインフラ投資銀行は、世界制覇の第一歩を踏み出したということである。

 

3)欧米と協力して、欧米の対中国姿勢を十分理解した上で、中国との経済関係を考えるべきである。

 

日本政府は、中国相手の経済政策、つまり中国の内需に期待して工場を進出させたり、中国人観光客を誘致したりする事は、再考すべきである。つまり、日本政府にとっては、規制緩和ではなく規制強化の時である。

 

先程のテレビ番組「ゴゴスマ」に、菅政権に何らかの形で協力すると考えられている橋下徹氏が出演し、外国人観光客を様々な規制緩和で増加させたのは菅官房長官の努力によると言っていた。そして、これから本来のアベノミクスのために、規制緩和を行うことが必要だと言っていた。真逆である。

 

今、緊急に我々が確認すべきことは、そもそもこの我々の「近代文明はどの様に発展したのか、その中で西欧文化はどのような働きをしたのか」である。そして、日本国やその他の東洋の国々はどのように、この近代機械技術文明に参加してきたかを考えるべきである。

 

西欧の科学は、神がこの世界を論理的に創った筈であるという信念がなければ、発展しなかっただろう。「真実は一つであり、再現性がある」という信念である。神は言葉を大事にし、約束を守るという、キリスト教的信念である。魑魅魍魎に怯える東アジアの人間には、論理的科学的思考でこの世界の仕組みを知ることなど出来ない。

 

「敵を愛し、迫害する者のために祈れ」という思想がなければ、ハーグ陸戦協定のような取り決めは出来なかっただろう。法治の理念も、キリスト教が底にある。日本にあるのは大岡裁きであり、全く法治の理念には遠かった。

 

つまり、我々の国、日本は「西欧に学び、西欧に追いつけ」という覚悟で、明治以来努力してきたのである。そこで、敢然とその思想を採用しない中国という国が現れた。その姿は勇ましい。流石中華5000年の歴史を思わせる。しかし、そうなら、現代の科学技術に頼るのは止めるべきだ。(補足3)

 

この近代文明に合わない中国の考え方は、許されるべきではないのだ。キッシンジャーやウォール街の資本家達の多くが気づき始めた危険な中国共産党政権相手の実利主義を、これから始めようとする橋下氏は、異常と言って良い。

 

菅政権は、その彼を登用して、経済回復に共産国中国との関係強化に向かうべきではない。中国からの旅行者を受け入れようという類の政策も、採るべきではない。

 

補足:

 

1)私は、橋下徹氏を大阪府知事時代から高く評価してきた。橋下氏の道州制の主張に対しても、同様であった。本当に残念である。

 

2)昨年10月15日のブログ記事に書いたように、ジョー・バイデン氏の息子のハンター・バイデン氏と、前オバマ政権時代の国務長官のジョン・ケリー氏の義理の息子デバン・アーチャー氏は、共同で投資会社ローズモント・セネカという会社を経営している(又は、していた)。

この会社に、ウクライナのエネルギー企業のブリズマから90万ドル振り込まれたという話は、テレビ東京でも放映されている。ウクライナ疑惑である。https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/nms/news/post_187727/

そのローズモント・セネカという会社は、中国に巨額投資する代表的米企業である。大紀元時報によれば、ハンター・バイデン氏は、株式未公開の中国の投資会社の取締役を務めるなど、巨万の富を中国で得ている。

また、ローズモント・セネカが設立した米中合弁の会社「渤海華美」は、中国の新興企業Megvii(北京曠視科技有限公司)が開発した顔認識プラットフォーム「Face++」に投資している。Face++の顔認識技術は、中国公安当局が監視システム構築のために採用している。https://www.epochtimes.jp/p/2019/10/48157.html

 

3)中国は西欧の科学技術は、西欧の文化の産物かもしれない。中国は、その産物を利用し、文化は受け入れない。それが厚黒学の極意だ。そのように言うかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿