米国で最大の関心事は、11月の大統領選だろう。新型コロナ肺炎(以下新型コロナ)は、大統領選の行方にも影響する可能性が高い。それは、新型コロナの感染防止という理由で、郵便投票を取り入れる州があるからである。本人の意思を十分確認しないで、ポストに投函する形で投票することもあり得る。
例えば、意識が朦朧としている寝たきりの老人でも投票できる。つまり、親族が意思を確認したということにして、その老人の名で投票しても解らないなど、グレー領域の不正が多く発生する可能性がある。膨大な投票の極一部、例えば十万件にその種の不正があったとしても、件数は膨大で選挙結果に十分影響するが、事実上捜査は不可能である。
ここで、郵便投票を選挙の方法に考える時、以下の点を十分自覚することが重要であると私は考える。
① 「選挙で民主政治」というシステムの弱点の一つは、選挙では投票数の差で競争するというところにある。従って、極一部の不正でも、選挙の機能が破壊される可能性がある。
② 選挙での投票は、選挙権の行使であり、権利の行使には明確な意思が必要である。明確な意思なき選挙権の行使は、その選挙の公正性を破壊する。
これらの考え方は、民主主義の弱点を克服する上で大事だと思う:
民主主義の弱点は、よく考えた一票も、何も考えない一票も、同じ一票だという点である。大統領の選挙でも他の選挙でも、上記二つの観点から、不正投票がゼロであること、そして、良く考えた明確な意思の表明としての一票を投じることで、民主主義の機能が辛うじて維持される。
更に、民主政治が機能する上での必要条件は、公の空間での有権者や候補者の政治に関する熱意ある議論である。バイデンとトランプも、その政策論争を十分な時間をとって公開で行うべきである。その上で、選挙人は議論と思索のあと、明確な意思をもって投票することである。今回の米国の大統領選の場合、やはり投票所に出向いて、立会人の前で本人確認の機会を作り、その後自分の意思で投票することがその意思の証明であり、大事なことである。
十分考えない役所の人たちは、選挙に際して「投票に行きましょう」と呼びかける。しかし、私は敢えて言いたい。明確な意思の無いものは選挙権を行使するべきでない。個人の意思ではなく、団体の意思で投票するべきではない。
2)郵便投票をトランプが警戒する理由について
新型コロナ肺炎の影響を考慮して、或いは利用して、多く州において郵便投票で大統領選挙に臨むことになったようだ。トランプ大統領は、この郵便投票で不正が行われる可能性を危惧して、反対運動を行っている。
勿論、厳格に管理された形で、郵便投票を行う場合、不正が入り込む可能性は少ないという意見もある。例えば、ニューズウイーク日本語版の9月15日の記事では、「米大統領選、トランプが猛反対する郵便投票で不正がほぼ不可能なワケ」と題する記事を書いている。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/09/post-94439_1.php
その一つの根拠として、2016年の選挙でも有権者の25%は郵便投票或いは不在者投票をしていることを上げている。また、なりすまし投票の件数は、過去の投票では非常に少ないとある専門家が証言している。
そして、以下のように書いている:
コロラド、ハワイ、オレゴン、ユタ、ワシントンの5州は現在、選挙を主に郵便投票で実施するが、不正はほとんど記録されていない。オレゴン州は2000年以降、1億通を超える投票用紙を郵送してきたが、不正が立証されたのは12件ほどだ。
しかし、この記事は全体的にバイデン支持の姿勢が明確にあらわれており、客観的な視点で書かれた記事ではない。記述不正が立証されたのは少ないだろうが、立証されない不正も合計して、トランプは恐れている筈。問題がないのなら、当の候補者が異常な位(補足1)に恐れる筈はない。その理由を視野を広げて考察すべきなのに、むしろその恐れを攻撃材料にしている。
トランプが恐れる理由は、幾つか存在する。その一つ目は、選挙が非常に接戦となると予想しているのだろう。つまり、上に書いたように、「選挙は得票数の差で戦う」ことである。従って、不正が検出されたのは極めて稀だというのは、トランプに反論する場合、無力である。
3)中国による選挙介入の警戒
トランプが警戒する本命は、郵便投票を利用した国内反トランプ派や中国の工作だろう。中国は何とかバイデンを米国大統領にしたい。その理由は書くまでも無い。(補足2)オバマ大統領の時代に副大統領だったバイデンは、中国共産党政権と非常に親密な関係を築いたからである。中国を息子と訪れて、息子の経営する投資会社は中国から巨額の投資を得ている。https://www.epochtimes.jp/p/2019/10/48157.html
他にもハンターバイデンと中国で検索すれば、たくさんの例が出てくる。息子は、まともなビジネスをやっているというセリフは、通常のセンスでは説得力を感じない。
中国は国を上げて不正でもなんでもして、選挙に介入し、バイデンを勝たそうとしているようだ。その例だが、香港当りから何万という偽造の運転免許証を米国に送り込んだ事件があった。勿論、何処の誰が行ったのかは発表されていない。FBIによると、偽造免許証は郵便投票に参加できるように偽造されたものだという。https://wasegg.com/archives/2903
上の写真の標語:なりすまし投票はありますか? 2万人分の偽運転免許証の持ち込み
これらの危惧を取り上げないで、郵便投票では不正が起こり得ないと記事に書くのは、ニューズウイークがバイデン支持であることを示している。代表的なマスコミが、このような悪意に満ちた記事を書くようでは、米国全体が今や内戦状態に近いと言えるだろう。
昨日の”chukaのブログ”さんの記事では、トランプが大統領選投票後にクーデターを計画している可能性にふれた。https://ameblo.jp/chuka123/entry-12625308891.html
この可能性は低いだろうが、米国はそのような緊迫した雰囲気にあることは事実だろう。このブログ記事には上記のような内容を短くしてコメントさせてもらった。
その最後に以下のような文章を書いた:
投票所の設営と管理をしっかりすれば、感染の危険性はPCRを受ける時より少ないでしょう。
日常生活をほぼ正常に行い、買物にもでかけるのに、何故、大統領を選ぶという大事な権利行使が、新型コロナ肺炎の流行で出来ないのか不思議です。
クーデターの記事がかなり存在する。それほど、米国は分裂の危機にある。それらを引用だけしておく。https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57849
尚、トランプは郵便投票を違法なクーデターだと攻撃している。
https://www.yomiuri.co.jp/world/uspresident2020/20200804-OYT1T50143/
補足:
1)異常に郵便投票を警戒するトランプは、ノースカロライナで支持者に二重投票を呼びかけたという。勿論、これは悪い冗談の筈だが、それをニューズウイークは、真面目に取り上げている。何方も、今回の大統領選は、米国の重大事であることを示している。
2)米国の大統領選挙の日本の国会議員などの選挙との大きな違いは、テレビの利用である。今回の大統領選でも、テレビのコマーシャルとして、トランプの共和党はバイデンを批判するコマーシャルをテレビで流す。同様に、バイデンの民主党はトランプを批判する内容のコマーシャルを流す。https://www.youtube.com/watch?v=cMW334BQZXo
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