1)日本のケース:
日本の感染者数はPCR検査を行わないで、低く抑えられているという批判が海外から何件もあった。そして、日本政府のその様な対応の理由として2つが考えられていたと思う。その一つは、①感染者数の激増が表沙汰になると、オリンピックが開催出来なくなるという見方、そしてもう一つが、②武漢のように医療崩壊になっては逆に被害が大きくなることである。
前者を明確に証明したのが、小池都知事の昨日の都民に対する外出を控えるようにという要請であった。つまり、小池氏の心理が「オリンピックが延期になったのだから、次は新型コロナ肺炎(COVID-19肺炎)対策だ」という風に透けて見えるのである。それを指摘したのが、鳩山由紀夫元首相である。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200325-03250336-sph-soci
私は、このCOVID-19肺炎で犠牲者が多く出ることや、それによる世界大不況に比べて、オリンピックなどどうでも良い位小さい問題なので、①の動機を全く無視してきた。しかし、昨日の小池都知事の手のひらを返したような対応の変化を見ると、安倍首相や小池氏らを含めて日本の政治家は、上記二つ、オリンピックの中止とCOVID-19肺炎と世界経済危機の大小関係すら峻別できないのだとわかった。それは、有効な対策を立てることができないことを示している。
つまり、東京オリンピックは遅くとも今月上旬、トランプ大統領が一年延期した方が良い(3月12日の発言)と発言する以前に、政府は決断すべきだった。そうすれば、東京都も日本全体も、もっと積極的に情報公開し、新型肺炎対策に集中できたと思う。
おそらく現在では軽度な症状の人を含めて、一万人程度の人が発症している筈である。それが、一週間で倍程度の時定数で暫く増加を続けるように感じる。しかし、病院のベッド数、人工呼吸器、医師と看護師、検査要員などの、多数の重症患者に対応する能力の確保を、具体的に進めるような命令を政府や東京都は出さないだろう。何故なら、未だ緊急事態宣言など、出す気配がないからである。
(追補1:漸く昨夜その気配が感じられるようになった。)
2)途上国の感染実態
途上国の実態もジョーン・ホプキンス大の頁に現れる数字はあてにならない。北朝鮮だけでなく、インドやパキスタン、それにアフリカ諸国などの感染者数の発表値は、実際の値の数分の1から数十分の1だろう。https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
その根拠の一つが、外国からの帰国者の感染の実態である。下図は、帰国者の在留国
別感染者数を示している。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20200325004677.html
エジプトは、大発生しているイランの近くにあり、且つ、中国との協力関係もイラン同様に深いので、かなりの患者の発生が考えられる。
https://mainichi.jp/articles/20190430/k00/00m/030/195000c
(追補2:しかし政府は26日夕刻発表の入国禁止国の対象にエジプトをいれていない)
3月25日午後更新の外務省ホーム ページでは、在エジプト大使館からの情報として、エジプト(政府発表)の感染者数は402名という数字を掲載している。日本からエジプトに在留する人間の数はフランスなどよりかなり少ないので、上の多数の帰国者の感染から考えて、402名という数字は全くデタラメだろう。
https://www.eg.emb-japan.go.jp/itpr_ja/r_covid19.html
フィリピンなども、発表している感染者数は600人程度で諸外国に比べて少ない。在留邦人もフランスの1/3程度で相当多いが、相次いて帰国者の感染が見つかるなどの情況から判断して、相当感染が進んでいる可能性が高い。これらJohn Hopkins 大掲載の途上国データは、中国の発表データ同様、全く信用できない。
フィリピンは、早い時期に中国からの渡航を禁止し、立派に対応しているように見えたが、実際には感染が進んでいたのだが、ドゥテルテ大統領は中国に遠慮してデータを隠蔽したのだろう。兎に角、外務省が掲載する感染危険レベルを示した世界地図など、全く頼りにならないことが証明されている。
(図に対する注釈: レベル1は水色、レベル2は紫、レベル3は濃紫色、レベル4はこの図にない)
追補3:コンゴがレベル2になっている。ここの発表感染者数は26日夜でも50人程である。ここを担当している外交官には、まともな活動をしていて感染実態を本国に報告したのだろう。
これらから、日本の在外公館が、本省への報告と現地在留の日本人への指導を適正に行っていない可能性がたかい。今回の新型コロナ肺炎に関しても、国内外を問わず、自分の身は自分で守るという原点に戻るべきである。
(3月27日午前4時、追補追加と編集)
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