今朝のJIJICOM(時事通信社)の記事によると、安倍内閣は新型ウイルス対策のために、WHOに対して1億5500万ドルの資金協力をしたという。どういう趣旨なのかさっぱり分からない。ヤフーニュースに記載された速報記事の全文は以下の通り:
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200314-00000009-jij-int
【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は13日にジュネーブで行った記者会見で、新型コロナウイルスへの日本の対応について「安倍(晋三)首相の主導の下での政府挙げての対策」が、感染の抑制に決定的な役割を果たしていると称賛した。さらに、日本が今週、WHOの同ウイルス対策に1億5500万ドル(約166億円)の資金拠出をしたとして、謝意を表明した。また、中国と韓国、シンガポールについては「積極的な検査、接触者の捕捉」が感染拡大を防げることを示したと評価した。
WHOのテドロス事務局長は、エチオピア出身であり、出身国と中国の深い関係を考えて中国寄りの発言を繰り返してきた。今回の新型コロナ肺炎に関しても、中国習近平政権の初期の隠蔽工作について、何の非難もせず、中国の対策を礼賛した。そのような経緯を考えて、WHOがまともに先頭にたって新型コロナ肺炎対策が出来たとは思えない。https://president.jp/articles/-/32754?page=3
安倍内閣の新型コロナ肺炎対策に対しても、WHOという権威から高い評価をもらいたい気持ちは、俗人的な見地に立てば分からないことはない。実際、さっそく希望に沿う言葉をテドロス事務局長よりもらったので、思った通りの効果はあったのだろう。しかし、安倍内閣のこれまでの「目立った対策」は、PCR検査をなるべくしないで感染者数を小さくする方法で、隠蔽してきたことではないのか?
安倍総理は一体WHOのどのような対策を評価し、今後のどのような活動に期待して166億円という多額の寄付を行ったのか。国家の資金であるから、明快に説明してもらいたい。今日午後6時から記者会見があるので、その際何か発言があるかもしれないが、是非そこで言ってもらいたい。
2)安倍総理の本音を想像する:
エチオピアから出向しているテドロスWHO事務局長は、新型コロナ肺炎を世界にばらまいた中国に非常に気を使った発言をしてきた。それは、エチオピアと中国との緊密な政治経済関係があったからだろうというのが、殆どの人の見方である。実際、エチオピアは中国の一帯一路構想のアフリカでの展開の中心である。https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/05/d17fd454d9dc556f.html
新型コロナ肺炎のヨーロッパや中東での爆発的感染拡大は、対中関係が密接な国で起こってきた。それらは、イラン、イタリア、ドイツ、フランス、スペインなどでの国々である。その延長上で考えれば、エチオピアなど中国と関係の深いアフリカの国々では、(補足1)感染が既に広がっているだろう。
しかし何故か、アフリカでの感染数(発表値)が少ない。原因は、PCRテストなどの先進医療技術の欠如の他、中国に気をつかっていることかもしれない。後者は、フィリピンでの少ない感染者数発表と同じ現象かと思われる。(補足2)そんな中、エチオピア政府当局は13日、同国初の新型コロナウイルスの感染者が日本人の48歳の男性だったと発表した。中国人の感染者なら何時でも発表できたのではないのか? https://www.asahi.com/articles/ASN3F77BWN3FUHBI02V.html
エチオペアでは、中国との関係などから推測して(補足3)、かなりの人が既に感染していた可能性がある。これまで、感染者ゼロというのはあり得ない。第一号感染者を中国以外の関係者にしたい、エチオピアのトップ近辺は、そう考えてきたのではないか。そうこうしているうちに、日本人の感染者が発見された。第一号感染者として発表するのには、好都合だった。
どうでも良いように思う人も多いだろうが、人間はメンツを気にする。安倍総理も、日本のイメージをWHOに汚されてはたまらないと考えたのかもしれない。オリンピックの開催地として、世界から人を呼び込むには、その国のイメージが大事であると。
日本は核汚染国なので、オリンピックの参加選手用に、食料は自国から持ち込むと言って、日本のイメージを悪くするように努力した人も居た。(補足4)そのような人としてもうひとり、WHOトップのテドロス氏が加わってはたまらない。そう安倍総理は考えた可能性がある。
人類の未来を本来担うべき国際連合やその下部組織が、このような低レベルの政治で動いていることは非常に嘆かわしい。この種の政治屋的なことの積み重ねでは、人類の世界に未来はないだろう。しかし、人類とは所詮その程度かもしれない。人類がそれ以上に賢ければ、終末論など「神」は作らなかっただろう。
補足:
1)中国は、エチオピアに利子の一部免除など、有利な借款を許している他、エチオピアとジブチの港までの鉄道を建設して、海への出口を設けるなど、インフラ建設にも多大の協力をしているという。
2)フィリピンはマニラを封鎖する決定をした。しかし、報告されている感染者数は最近まで非常に少なかった。現在でも64名の感染者しか居ないことになっている。それでも、緊急事態宣言を出したのは、遥かに多い感染者数を把握しているからだろう。これまで感染者数を低く報告してきたのは、いうまでもなくフィリピン大統領の巧みな戦術の一環だろう。中国人の渡航をいち早く制限して自国民を守る一方、感染者数を抑えて中国に配慮するのである。
3)中国が、インフラ投資などに協力する場合、会社から労働者まで派遣する形で行う。そのため、アフリカに住む中国人は既に100万人以上に登るという。ハワード・W・フレンチ 著 栗原泉 訳『中国第二の大陸アフリカ――100万人の移民が築く新たな帝国――』『アフリカレポート』2017年 No.55、p.112
4)韓国の文在寅大統領の考えである。https://jp.reuters.com/article/olympics-2020-radiation-southkorea-idJPKBN1Y8187
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