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人類史の本流は中華秩序なのか、それとも西欧型秩序なのか

1)米国が露呈させた中国共産党政権の真の姿と日本の課題   日本が抱えている最重要な課題は、コロナ問題や拉致問題等ではなく、表題の問に対して明確な答えと姿勢を持つことである。短期的な経済的利益に囚われないで、現在が世界の歴史の方向が決定される時なのかどうかを考えるべきである。...

2020年3月18日水曜日

新型コロナ肺炎による世界経済危機と人類の浅知恵

新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界経済に大きな影響が出るだろう。そのことを的確に指摘したのが、何時も引用する及川幸久氏のyoutube動画である。タイトルは「韓国、ロシア、トルコの通貨安」だが、その根本にあるのが、この新型コロナ肺炎(以下COVID-19)とそれによる中国の経済危機である。https://www.youtube.com/watch?v=bpp4imMsDoE

 

新型コロナ肺炎の対策を論じる際、以前から言われているのは、COVID-19を抑え込む最良の方法は、経済にとって最悪の結果を招くことである。つまり、全員が自宅に籠もってしまっては、経済危機が来るのは当然だからである。その点、日本は上手くやっていると言うことも可能である。(補足1)

https://www.youtube.com/watch?v=gjMJHVp55v0

 

COVID-19肺炎には、根本的対策はない。全員の感染、季節要因の好転、ワクチン開発などに、期待するしか本来ないのだろう。(補足2)

 

1)パンデミックとなったCOVID-19肺炎との戦い方について:

 

幸か不幸か、COVID-19はそれほど強烈な感染症ではない。致命的な被害に会うのは、高齢者や持病を抱えている人である。その死亡率3%の恐怖に国民全員が捕われて経済がストップすれば、高齢者や糖尿病、高血圧に罹患している“厄介者たち”が助かって、現在経済を担っている現役世代と次世代を担う子供に被害が大きくでる。それは、国家の破綻の第一章を為すだろう。(因みに、筆者は高齢者である。)

 

日本国家のトップには、大きな権力がないので、右往左往しながら実態を隠蔽する方式をとっている。一昨日批判したクラスター感染中心の「対策」とは、感染蔓延の防止を諦め、論語の精神「(国民は)由らしむべし知らしむべからず」を施政の中心においたものである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html

 

それを、現代版「楢山節考」の世界だと呼び批判したのが、2月24日に書いた記事の内容である。それが当に現在の日本の実態である。国或いは民族全体でみれば、正しいとは言えないとしても、差し当たりの被害を最小に抑える方法かもしれない。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/02/covid-19.html

 

しかし、世界はそのようには進行していない。その代表的な姿勢は、中国政府がとった徹底的に力で抑え込む手法であり、韓国の出来るだけ多くの感染者を洗い出し、隔離する手法である。それは、昨日まで私が主張した手法でもある。その大きな細かい網でどんな小さな魚でも掬い取るような方法を、WHOのテドロス事務局長も主張している。それは世界保健の「専門的判断」として、正しい方法だろう。https://jp.reuters.com/article/healthcare-coronavirus-who-idJPKBN2133E9

 

しかし、専門的に見て正しい方法が、総合的観点からの正しい方法に一致するのは、ことが始まった序盤のみである。数学の基礎知識の在る方には、「世界保健という独立変数による偏微分的方法では、独立変数が大きくなると良い対策とはならないのである」が分かりやすいだろう。(補足3)

 

序盤では、伝染病と正面から対決できるが、中盤では二次的効果(ここでは経済効果)が大きくなり、それが一次的効果(つまり伝染病そのものの効果)より重要となってしまうことが往々にして在る。つまり、中盤戦以降は、力で抑え込む手法は全身の生命力の減退に至る可能性があり、禁忌となる場合が多い。

 

2)世界経済への影響

 

上記及川氏の動画を見ると、世界経済は破綻し、もっと大きな被害に向かっているように見える。その中心にあるのは、COVID-19 の発生地の中国である。中国統計局の発表では:史上初の小売売上高の下落で、しかも20.5%という大きな値; 鉱工業生産も中国の高度成長以来の初めての下落で、その値13.5%;固定資産投資、過去30年で最悪の24.5%の下落である。

 

中国経済に大きく頼ってきた国々の経済も傾く。それが、及川氏の動画の表題「通貨危機:韓国、トルコ、ロシア」の内容である。しかも、及川氏の話は、表題にないオーストラリアの株価下落と通貨下落から始まる。米国の緊急利下げにニュージーランドが追随利下げを行ったが、オーストラリアは通貨下落を恐れて、利下げ出来なかったという話である。

 

中国の経済に大きく頼る資源国のオーストラリア。勿論、日本も鉄鉱石や農業製品など輸入している。更に観光産業も大きな経済の柱だという。そのオーストラリアでは、工業製品の多くは輸入に頼っている。通貨安は、金融危機に導く可能性が高く、利下げできないのである。。

 

人の移動が禁止されれば、人は消費しない。その消費物資は、従って、生産されない。生産されないのなら、工場は休業であり、小売店もほぼ閉店状態。石油も消費されないから、原油価格は下落する。中国で始まった経済縮小により、産油国の経済はガタガタになるだろう。

 

産油国、アラブ諸国やロシアの経済は傾き、その通貨は下落するだろう。傾いた会社の社債の価格が下落するのと同じ理由である。国家の発行する通貨は、会社の発行する社債と同様に、本質は国家の債務証書だからである。通貨のこの仕組は、物々交換の経済から通貨を用いる経済に完全移行して以来、絶対的なことである。(補足4)

 

産油国が売った石油の代価で、先進国諸国の生産した工業製品を買うのだから、先進国諸国の経済も傾く。自国の消費物資の売れ行き停滞で疲れた体に、新たなボデイブロー(Body blow)を食らうようなものである。

 

そこからの立ち直りを牽引するのは、差し当たり米国だろう。しかし、日本やオセアニアが本格的に立ち直るには、中国の経済復興が大事だろう。それが元の軌道に戻る最短ルートだろう。中国共産党は、強引な手法を用いることが可能である。これから夏になり、COVID-19 の勢いが収まれば、その軌道への回復に向かい、2,3の国で経済破綻があったとしても、世界経済も元に戻るかもしれない。(補足5)

 

もし、今回の新型パンデミック疫病が、神による試練なら、元の軌道に戻るだけでは、知恵が足りないと神は仰せになるだろう。何故なら、中国による人権の問題、地球環境の問題など、一年前の大問題は未解決であり、解決の方向が見えないからである。

 

 

補足:

 

1)経済評論家の渡邉哲也氏が、広く検診をして感染者を隔離するWHOの主張する方法は日本では駄目だと主張している。(下の動画20分まで)その理由として、医師が検査に手を取られて、医療崩壊の原因になると言っている。そこで、私は反論をコメントした:

渡邉さんの考え方はおかしい。現在の患者数(800人程)では、検査と隔離が基本。陽性で歩き回る人には、障害(または未遂)罪を適用すべき。治療法も、色々かんがえられている。それに、検査は医者でなくてもできる。日本のやり方では、ある時期に爆発的な感染拡大が明らかになり、その時医療崩壊する可能性がある。

 

しかし、今回の記事の内容は、これと真っ向から反するものである。上記は日本政府の発表している感染数が示す序盤戦(COVID-19 との戦いで)の場合正しいが、中盤戦では総合的にみて正しくなく、渡邉氏や日本政府のダラダラ戦術が、結局被害の点では少ないという内容である。

 

2)重症者には、各種の対策がある。アビガン、抗HIV薬、マラリヤの薬などである。しかし、軽症者には副作用を考えると、ワクチン以外は採りにくいだろう。

 

3)偏微分とは、他の独立変数(経済、政治)を一定のままにして、一つの独立変数(保健医療)の変化による従属変数(世界の福祉)の値の変化を得る方法である。保健医療の変化が経済や政治に絡んでくる事態になれば、偏微分だけでは全体の変化(全微分)の近似にならない。

 

4)金を通貨に用いた取引には、物々交換の要素が多少残っていると考えれば、完全移行したのはニクソンショックの時である。1オンス35ドルという約束で、米ドルが金に交換できた時代には、米ドル札による売買は、金との物々交換と見ることも可能だったからである。それ以来、米ドルの値打ちは金価格で換算すれば、現在50分の1以下となっている。

 

5)経済だけで収まらず、政治問題として大きくなれば、人類の危機に発展する可能性すら存在するだろう。その危機は、COVID-19 をばらまいたのは米国だろうとか、いやそれは中国の生物兵器だろうという、批判合戦で世界が真二つに割れた時始まるかもしれない。

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